Drupal 8から実験的モジュールというカテゴリが追加され、マイナーバージョンアップデートの際に新機能が追加されていくことになりました。有効にしなければ稼働中サイトへの影響はありません。ここでは、それらを紹介していきます。
※この記事はDrupal Advent Calendar 2016の12月13日分の記事です。
記事引用元:Drupal 8.1.0 is now available / Drupal 8.2.0 is now available / Drupal development roadmap
Drupal 8.1で追加された機能
Drupal 6および7からDrupal 8へサイト移行のためのMigrate UIモジュール
Drupal 6または7のサイトをDrupal 8に移行するためのモジュール、Migrate UIモジュールが実験的に追加されました。このモジュールはまだ実験段階にあり、既知の問題があることに注意してください。Drupal 6およびDrupal 7からDrupal 8.1.0へのサイト移行に関する具体的な情報については、以下を参照してください。
(移行を実行する前に必ずデータをバックアップし、結果を慎重に確認してください)。
Drupal 6からの移行 https://www.drupal.org/blog/drupal-8-1-0#d6
Drupal 7からの移行 https://www.drupal.org/blog/drupal-8-1-0#d7
サイトの表示の体感速度を大幅に改善するBigPipeモジュール
Drupal 8のBigPipeモジュールは、Facebookで利用されているページの表示速度を早くするBigPipeと呼ばれる技術を実装します。BigPipeモジュールを利用する事でキャッシュを利用する事ができない、動的なコンテンツや、個別のユーザー毎のコンテンツ等を表示する際の体感速度を大幅に向上させます。
詳細はBigPipeのドキュメントを参照してください。https://www.drupal.org/documentation/modules/big_pipe
CKEditor WYSIWYGのスペルチェックと言語ボタンの実装
Drupal 8.0.0にはCKEditorモジュール(WYSIWYGエディタ)が含まれていましたが、以前はブラウザの組み込みのスペルチェッカーを使用してテキストのスペルチェックすることはできませんでした。 Drupal 8.1.0では、CKEditorでもスペルチェックが利用可能になりました。
もう一つの大きな改善点は、CKEditorにオプションの言語マークアップボタンを追加されたことです。 このボタンを編集ツールバーに表示されるように設定すると、テキストの一部に言語情報を割り当てることができます。これは、アクセシビリティとツールなどで機械的に処理をする際に役立ちます。
Drupal 8.2で追加された機能
ページへのブロック配置を簡単にするPlace Blockモジュール
Place Blockモジュールを使用すると、ブロック管理画面に移動することなく、任意のページにブロックを配置することができます。 配置する領域を選択した後、ブロックの設定をモーダルダイアログ内ですべて調整して配置できます。
実験的に導入されているSettings Trayモジュールを利用して、ブロック設定を簡単に変更する方法もあります。 ブロックを編集すると、サイドバー内のトレイのタイトルやその他の設定が開きます。たとえば、サイト名ブロックの場合は、サイドバーで直接サイト名を編集できます。 メニューブロックについては、メニューを編集することができます。
コンテンツの公開・承認機能の実装
Drupalは公開済みコンテンツと未公開のコンテンツの管理の両方を以前からサポートしていますが、より詳細なワークフロー機能はDrupalコアだけでは利用できませんでした。今回、実験的に実装されたContent ModerationモジュールはWorkbench Moderationモジュールプロジェクトに基づいたモジュールで、「下書き」「アーカイブ」「公開済み」などのコンテンツワークフローにおけるコンテンツのステータスの定義します。また、コンテンツを、どのユーザーロールがどのようなステータスに設定する事ができるかを定義します。
日時範囲のサポート
コアに含まれているDatetimeモジュールは、○月○日○時○○分などの単一時点の日時のみをサポートしています。 今回、実験的に追加された、Datetimeモジュールには、○月○日○時○○分~×月×日×時××分のように、終了日を設定する新しいフィールドが追加されました。 これは、Calendarモジュールのような日付を利用するモジュールがDrupal 8で動作するのを助けます。
Webサービスのプラットフォーム機能
Drupal 8.2では、バグ修正、設定の簡略化、レスポンスの改善、新機能など、他のWebサイト (decoupled sites) やアプリケーションとの連携に役立つWebサービスへのサポートを引き続き拡大しています。 ボキャブラリやコンテンツタイプなどの設定エンティティ (Configuration entities) をRESTリソースとしてGETメソッドで読み込めるようになり、8.1.x以前のREST機能の重要な制限を解決することができます。 REST機能を使いログイン、ログアウト、ユーザー登録をすることも可能です。 RESTエクスポートビュー表示 (REST Export Views Display) で使用される認証メカニズムが設定可能になり、クロスオリジンリソース共有(CORS)を設定するためにcors.configサービスパラメータが追加されました。 RESTリソースの構成も大幅に簡素化されています。
Drupal 8.3で追加される可能性のある機能
今後追加される可能性のある機能については、drupal.orgの以下のページで公開されています。
Drupal開発ロードマップ: https://www.drupal.org/core/roadmap
ロードマップによると、Drupal 8.3では以下の機能が追加・改良される可能性があります。
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Behatを使ったフロントテスト機能の導入
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Contactモジュールの機能追加
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インストール時にサンプルコンテンツを配置
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テーマシステムの大幅な改良
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Mediaファイルの取扱方法改良
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PHPUnitでのテスト方法の改良
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