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当初、Drupalには野心があった
この記事は「 In the beginning, Drupal had an ambition 」の翻訳です。
この記事の目次

以前より競争の激化するCMS(コンテンツ管理システム)の世界において、それぞれの会社は何に重点を置くべきなのか。既に一部の企業がこうしたデジタルエクスペリエンスの提供に向けて事業を展開していることを認めなければなりません。

「野心的なデジタルエクスペリエンス」と、いわゆるウェブサイト等の「普通の単純なデジタルエクスペリエンス」を差別化するものは何でしょうか?またそれはどのような性質を持っているのでしょう?そのようなエクスペリエンスすべての側面をカバーする事は決して簡単な努力ではありません。ですので私はこれらを複数のパートに分け、そして可能な限りカバーすべく試みたいと思います。しかしまずはデジタルエクスペリエンスを一つずつ明確にすることから始めます。私はDrupalの説明に多くを割く必要はないと思っています。何故なら私たちはすでにDrupalが何を提供できるのかという事をよく知っているからです。

野心から野心的に

あまりこだわり過ぎたくはないのですが、私はどのようにDriesがこのアイデアを思いついたのかを明らかにしてみたいと思います。根底には野心が必要であったのではないかと思います。

私たち自身を差別化できる方向にDrupal(およびエージェント)を誘導するという野心。それは直接的な競争相手からだけでなく、より単純なSaaSソリューションからもです。すなわちDrupalが目指すべきだと思うものが、Driesの明確な定義と野心です。 また彼はそれを達成することに意欲的でもあります。しかしより重要な課題は、デジタルエージェンシーにおいてもアイディアを採用するためにこの野心が育くまれる事、そして(もっと)野心的になるという事です。既にデジタルエクスペリエンスに焦点を絞って事業を展開している企業もありますが、一部はクライアントとの日常業務に完全に組み込まれていないものもあります。

野心から野心的に

デジタル、エクスペリエンス、デジタルエクスペリエンス

まずは「デジタル」についてお話しましょう。最もわかり易い定義として、デジタルはアナログの対義語です。デジタルは情報技術に何らかの形で関連する用語です。コンピュータは0と1の2つの値しか区別しないため、コンピュータが処理するすべてのデータをデジタルで(一連の1と0として)エンコードする必要があります。しかし、もう一度、技術の議論から離れ、代わりにデジタルが表現すべきものと、提供できるものに焦点を当てましょう。しかしながら、どういうわけか私はそれが十分だとは思いません。私たちは単純な定義から離れ、デジタルが何であるかに焦点を当てるのではなく、物事を行う方法として理解しなければなりません。具体的に、McKinseyのDörnerとEdelmanはこの定義を下記の3つの属性に分解しました。

  1. ビジネス界の新しいフロンティアに価値を創造する
  2. カスタマーエクスペリエンスのビジョンを実行するプロセスにおける価値を創造する
  3. 構造全体をサポートする基盤機能を構築する

後ほど私たちはこれらの3つの属性に戻ります。しかしながらデジタル化をひとつの手段として定義することで、私たちはエクスペリエンスを創造することに近づいています。どのデジタルデバイスも、エクスペリエンスを創造する手段として使用されるまでの単なるツールです。

辞書で「エクスペリエンス」がどの様に説明されているかを見てみましょう。それは名詞または動詞からなり、名詞の場合は次の2つ事を意味します。一つ目は、事実または事象との接触および、または観察すること。二つ目は、誰かに印象を残す事象という意味。とりあえず、シンプルにデジタルエクスペリエンスについて考えましょう。

私たちが2つの単語の意味を統合し、独自の定義を見出だそうとするならば、デジタルエクスペリエンスとはデジタルテクノロジーを使用した組織とユーザー間で行われる相互作用であると言えるでしょう。Gartnerにデジタルエクスペリエンスの定義はありません(DEMは可用性とモニタリングを統制するパフォーマンスとして定義されたデジタルエクスペリエンスモニタリングを備えています)が、Mick MacComascaighによると、デジタルエクスペリエンスは、「コンテンツ、デザイン、機能要素を含む体験的要素の複合セット」と見なすことができます。これは、あらかじめ定義された一連の動作を促す可能性が最も高いデジタルチャネルを介して配信されます。

デジタル、エクスペリエンス、デジタルエクスペリエンス

Drupalと野心的なデジタルエクスペリエンス

CMS(コンテンツ管理システム)は、デジタルエクスペリエンスを提供する上で重要な役割を果たしますが、コンテンツを管理するだけでは、私たちが望む野心的なエクスペリエンスは得られません。 そのため、私たちはCMSとしてどのようなテクノロジーを使用するべきかと、デジタルエクスペリエンスに関する議論を分けて考えることができます。 例えばCMSについて話す際には、コストについての質問が割合すぐに起きるでしょう。 我々がデジタルエクスペリエンスについて話すことができるならば、コストについては言及しませんが、ROIについては話します。 そして、コンテンツを公開してから議論はコミュニケーションに移ります。 クリック数から使い易さ、すなわち動作やユーザビリティ、ラーナビリティ(学習のしやすさ)、CMSの効率性からデジタルエクスペリエンスの効果までを分析します。

結局のところ、エクスペリエンスはコンテンツ以上のものです。 最良のデジタルエクスペリエンスはナチュラルで直観的でなければなりません。 そして、顧客に焦点を当てたものです。

 
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この記事を書いた人: Kentaro Inoue

ANNAI株式会社
マーケティングマネージャー
サービスの設計・企画、マーケティング、採用戦略の立案などを担当。普段は新潟で猫と一緒に、時々海外からリモートで働いています。好きなモジュールはRulesとFlagです。

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