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「Drupal に興味はあるけど、英語の情報しかないので試しにくい」「インストール方法が分からない」などのコメントを耳にしたことがあります。この記事は、初めて Drupal を触る方を対象に、Drupal 10 を立ち上げ、ブログサイトを作成する手順を説明するチュートリアルです。

そして、Drupal の基本機能であるコンテンツタイプを作成する方法や、カスタムフィールドを追加する方法について学習します。また、ブログ投稿を分類するためのタクソノミーシステムについて学びます。

なお、simplytest.me で作成したサイトは試用目的の sandbox のため 24 時間の利用制限があり、それ以降は削除され使えなくなる点に留意してください。このサービスは Drupal コアだけではなくモジュールやテーマ、またディストリビューションを評価するうえでも活用できます。

simplytest.me を利用した Drupal のインストール

まず Drupal 10 をインストールしてみましょう。テストサイトを簡単に立ち上げるには simplytest.me にアクセスし、プロジェクト名フィールドに「Drupal core」と入力し、表示される一覧から「Drupal core」を選択してください。

次に、隣に表示されるドロップダウンリストから最新の Drupal 10 のバージョンを選択します。

simplytest.me の初期画面
次に、「Advanced options」(高度な設定)をクリックして開き、「Manual installation」(手動でインストール)にチェックを入れてください。このオプションを有効にすると、インストール時にサイトのデフォルト言語を日本語に指定できます。

simplytest.me でインストールしたいソフトウェアとバージョンを選択

「Launch sandbox」をクリックしてください。テスト用インスタンスの立ち上げが始まり、それが終了すると Drupal のインストール画面に移動します。まずここで、サイトの言語を日本語を指定します。

Drupal のインストール画面で日本語をサイト言語に設定

ステップ2の「プロファイルの選択」では、「標準」を選択してください。この場合、ステップ3の「必要条件の検証」はスキップされます。

ステップ 4 でデータベース情報の入力フォームが表示されますが、内容を変更しないまま「保存して次へ」ボタンを押して次に進むと、ステップ5でサイトのインストールが実行されます。

ステップ 7 でサイトの環境設定を行います。サイト名やメールアドレスなどを入力してください。

サイトのインストールが終了すると、新しく立ち上がった Drupal サイトに移動し、「ようこそ!」のメッセージが表示されます。これでサイトのインストールができました。ここからサイトの設定に移ります。

「ブログ」コンテンツタイプを作成する

今回インストールした標準インストールプロファイルでは、最初から「Article(記事)」コンテンツタイプが利用可能です。このコンテンツタイプには「Image(画像)」と「Tags(タグ)」フィールドが付属しているので、このコンテンツタイプをブログポストに使用する事も可能です。

最初から存在するコンテンツタイプ

Drupal に標準装備されているコンテンツタイプのリスト

「記事」コンテンツタイプに最初から存在するフィールド

「記事」コンテンツタイプにあらかじめ含まれるフィールド


しかし、コンテンツタイプやフィールドがどのように動作するかを知るためには、実際に独自のコンテンツタイプを作成して、それにフィールドを追加してみるのが一番です。そこで、以下のフィールドを持つ「Blog」コンテンツタイプを作成します。

  • Body
  • 画像
  • タグ
  • カテゴリー

時間を節約するために、記事のコンテンツタイプに既に存在する、「画像」と「タグ」のフィールドを再利用しますが、ブログの投稿を分類するための「カテゴリー」フィールドについては新規に作成する必要があります。

1.画面上部のツールバーの「サイト構築」から「コンテンツタイプ」をクリックし、「コンテンツタイプの追加」をクリックします。

2. 「名前」に「Blog」と入力し、「説明」に「日々のブログで使用」と入力します。

新しいコンテンツタイプ「blog」の作成


3.「説明」の下に、垂直タブのグループが表示されます。ここでは、「掲載オプション」や「表示設定」などのコンテンツタイプに関する設定を変更できます。これらのオプションはいつでも変更することができますので、今のままにしておきます。「保存してフィールドを管理」をクリックします。これでコンテンタイプが作成されました。

フィールドの追加

コンテンツタイプを作成すると、新しいフィールドの作成や既存のフィールドの編集ができる「フィールドの管理」ページにリダイレクトされます。

新コンテンツタイプ作成後に表示されるフィールド管理画面

新しいコンテンツタイプの作成した時にはデフォルトで「Body」フィールドが追加されています。コンテンツタイプの用途に応じて、このフィールドを使用したくない場合は適宜、削除してください。

前述のように、Blogコンテンツタイプには、Body、画像、タグ、カテゴリの 4 つのフィールドが必要です。
「Body」フィールドは既にコンテンツタイプ上に存在しますが、「画像」と「タグ」は追加する必要があります。標準のインストールプロファイルでは、これらのフィールドがすでに作成され、「記事(Article)」コンテンツタイプに追加されています。ここでは時間節約のために、これらのフィールドを再利用します。

1. 「フィールドの管理」ページで「既存のフィールドを再利用」をクリックします。

2. 表示されるモーダルにある「field_image」の横に表示されている「re-use」ボタンを選択します

既存フィールド再利用
3.「Blogの画像設定」の画面が表示されます。設定をそのままにして、「設定の保存」をクリックします。

画像フィールドの設定

4.次に「タグ」フィールドを追加します。「画像」フィールドを追加した時と同様に 「フィールドの再利用」をクリックし、tag フィールドを再利用してください。

「blog のタグ設定」画面では、全ての設定をデフォルトのままで設定を保存してください。

フォームの表示設定

次に「フォームの表示管理」ページからウィジェットを管理します。

フォームの表示管理画面でウィジェットを設定

ウィジェットとは?

ウィジェットは、データを入力するためのフォーム要素です。テキストフィールド、選択ボックス、チェックボックスはすべてウィジェットです。「フォームの表示管理」画面では、ウィジェットの種類を選択したり、各フィールドの表示順をドラッグ&ドロップで並べ替えることもできます。


1.「フォームの表示管理」ページで、「タイトル」の下に、「画像」と「タグ」フィールドを移動し、「保存」をクリックします。

フィールドの順序をドラッグ&ドロップで変更
この時点で、「Blog」コンテンツタイプには、「Body」、「画像」、および「タグ」フィールドが存在しますが、「カテゴリー」フィールドが不足しています。そのため、「カテゴリー」フィールド作成する前に、ボキャブラリーとして「カテゴリー」を作成する必要があります。

ボキャブラリーの作成

1. 「サイト構築」から「タクソノミー」をクリックし、「ボキャブラリーを追加」をクリックします。

ボキャブラリーの新規作成画面


2.「名前」に「カテゴリー」、「システム内部名称」に「category」を入力し、説明として「ブログポストの分類に使用」を入力して「保存」をクリックします。
3.「カテゴリー」ボキャブラリーにタームを追加する画面に移動します。「タームの追加」をクリックします。

タームの追加画面

「タームを追加」画面の「名前」フィールドに追加する「ターム」を入力して、「保存」ボタンをクリックします。複数のタームを連続して登録できるように、保存後は新しいタームを登録するためのフォームが表示されます。

ここでは、「Drupal」「Joomla」「Wopdpress」というタームを作成してみましょう。

「カテゴリー」ボキャブラリーのページを確認すると、以下の通り 3 つのタームが登録されていることが分かります。

追加したタームがターム一覧画面で確認できる
ボキャブラリ作成後、管理メニューの「サイト構築」からブログコンテンツタイプの「フィールドの管理」ページに戻り、カテゴリフィールドを追加しましょう。

カテゴリフィールドの作成

1. 「サイト構築」から「コンテンツタイプ」に移動して、「Blog」の「フィールドの管理」をクリックします。

blog コンテンツタイプの「フィールドの管理」ボタンを押す


遷移先のページで「Create a new field(フィールドの追加)」ボタンをクリックします。

2. 「フィールドの追加」ドロップダウンから、「タクソノミーターム」を選択します。「ラベル」に「カテゴリー」、「システム内部名称」に「category」を入力し、「保存して次へ」をクリックします。
 

フィールドの追加ボタンを押す


3. フィールド設定ページで、「許容する値の範囲」を 1 に制限します。これは、ブログポストごとに 1 つのカテゴリのみを選択できるようにする設定です。次に 「フィールド設定を保存」をクリックします。
4.「Blog のカテゴリー設定」画面の「参照タイプ」セクションで、「存在するボキャブラリー」に「カテゴリー」を選択し、「保存して次へ」をクリックします。

タームフィールドの設定をして保存

カテゴリーウィジェットを設定する

「Blog」コンテンツタイプに「カテゴリー」フィールドが追加されました。「カテゴリー」フィールドについても他のフィールドのようにウィジェットを設定しましょう。

「フォームの表示管理」タブをクリックし、フィールドを移動させて以下のようにフィールドを並び替えます。また「カテゴリー」フィールドのウィジェットを「選択リスト」に変更して、下にスクロールし「保存」をクリックします。

フィールドを並び替え、表示オプションを「選択リスト」に変更

ブログの表示設定

これまで、フィールドの作成とウィジェットの設定を行ってきました。次に、ブログの表示を設定します。
1. 「表示管理」タブをクリックしてします。

2.「表示管理」の画面でフィールドを以下の通りに並び替えます。

1. タイトル、2. 画像、3. body、4. タグ、5. カテゴリーの順に並び替えられたフィールド


フィールドの順序を変更したら、ページの下部にある「保存」をクリックします。これで、「Blog」コンテンツタイプの設定が完了しました。

ブログを投稿してみる

次に、管理メニューの「コンテンツ」をクリックし、コンテンツ管理画面にて「コンテンツを追加」から「Blog」をクリックします。フォームに内容を記入後に「保存して公開」をクリックすると、ブログポストが公開されます。

まとめ

このポストでは、サイトのインストールからコンテンツタイプやタクソノミータームの設定などを通して、Drupal の基礎について学びました。Drupal は実に多くの機能を備えており、ページ内に複数のコンテンツを表示できる Layout Builder や、記事の一覧などを作成するための Views モジュールなど、見栄えが良く機能的なサイトをノーコードで作れるための仕組みが他にも多くありますので、ANNAI の Drupal 初心者講座も併せてご覧下さい。

なお、先述のとおり、simplytest.me 上で立ち上げたウェブサイトは 24 時間で消えてしまうため、サイトを作り込んで公開したい場合はローカルの開発環境が必要になります。これについてはまた別のポストで説明します。


この記事は「 Build a Blog in Drupal 8: Content types and Fields 」をベースに、Drupal 10 で加えられた変更に基づき加筆・修正を行いました。

 
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この記事を書いた人: ANNAI株式会社

ANNAIは、2009年からDrupal専門のWebシステム開発会社として、世界規模で展開するグローバル企業や大学・自治体を中心に数多くのWebソリューションを提供。
CoreやModuleのコントリビューターなど、Drupalエキスパートが多数在籍。国内ユーザーコミュニティへも積極的にコミットし、定期的なセミナーの等の開催を通じて、オープンソース技術の普及や海外コミュニティとの緊密な連携を図っている。
Webシステムの企画・開発〜デザイン、クラウド運用までをワンストップで提供する他、Drupalのコーディングを評価する"Audit業務"や最適なモジュールの調査・選定等、幅広いコンサルティングを行っている。Drupalアソシエーション公式パートナー。

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