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Drupal CMS 1.0がリリースされました
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 Drupal CMS 1.0 released

やりました! Drupal CMS 1.0がリリースされました!

8ヶ月前、私は私たちのコミュニティに、マーケター、コンテンツクリエイター、サイトビルダーにとってDrupalをより使いやすくするという課題を投げかけました。今日(2025年1月15日)Drupalの24歳の誕生日に、Drupal CMS 1.0のローンチという歴史的な出来事を迎えました。

このリリースにより、Drupalを使用してサイトを構築する方法が2つになりました:

  • Drupal Coreは、ウェブサイトを完全にコントロールしたい専門家やデベロッパー向けです。ウェブサイト構築のための白紙のキャンバスを提供し、Drupalが24年前に始まって以来、何百万ものウェブサイトの基盤となってきました。
  • Drupal CMSは、Drupal 11コアを基盤とした、マーケティングチーム、コンテンツクリエイター、サイトビルダー向けのすぐに使えるプラットフォームです。Drupal CMSをインストールすると、高度なメディア管理、SEOツール、AIを活用したウェブサイト構築、(個人データに関する)同意管理、アナリティクス、検索、自動更新などのツールがすぐに使えるようになります。

この節目を祝うため、今日、世界中で60以上のローンチパーティーが開催されています! これらのお祝いは、Drupalの最大の強みの1つである、共に構築し革新する世界規模のコミュニティを強調しています。

Drupal CMSを試してみたい方は、https://www.drupal.org/drupal-cms/trial で無料トライアルを開始できます。

野心的なマーケター向けに構築

Drupal CMSは野心的なデジタル化目標を持つ組織、特に中堅市場や企業向けをターゲットにしています。このプラットフォームは、進化するニーズに適応し、拡張可能な堅牢な基盤を提供します。

組織はDrupal以外のCMSプラットフォームで成長の限界に直面することがよくあります。シンプルなウェブサイトとして始まったものが、ニーズが拡大するにつれてそのシンプルさが制約となります。プライバシーと同意管理を例に取ると、GDPR、CCPA、そして高まるプライバシーへの懸念により、これらの機能は今や不可欠ですが、ほとんどのCMSプラットフォームではデフォルトで提供されていません。これにより、組織は場当たり的な解決策を作らざるを得なくなります。

Drupal CMSはプライバシーと同意管理ツールをデフォルトで提供することでこの問題に対処しています。これにより、セットアップが簡素化されるだけでなく、CMSプラットフォームの新しい基準が設定され、ユーザーのプライバシーを優先しながら組織が規制要件を満たすのを支援する、より良いOpen Web が促進されます。

成功のためのレシピ

プライバシーと同意管理機能はDrupal CMSで利用可能な多くの「レシピ」の1つに過ぎません。レシピはブログ、イベント、ケーススタディなどの機能が事前設定されたパッケージで、サイト構築を簡素化し、スピードアップします。各レシピは必要なモジュールを自動的にインストールし、コンテンツタイプを設定し、設定を適用することで、手動でのセットアップを減らします。

この合理化されたアプローチは初心者にとってDrupalがより利用しやすくなるだけでなく、経験豊富な開発者にとってはより効率的なものになります。Drupal CMS 1.0は、ローンチ時にほぼ30のレシピを含んでおり、その多くはほとんどのサイトで必要とされる一般的な機能を提供するためにデフォルトで適用されています。デフォルトで適用されていないレシピはオプションのアドオンとして利用可能で、セットアップ時または後から、新しいプロジェクトブラウザを通じて適用できます。さらに多くのレシピが既に開発中で、年間を通じてDrupal CMSの新バージョンをリリースするたびに新しいレシピを追加する計画があります。

Drupal CMSのレシピ

再び未来を切り開く

Drupal CMSは、レシピによってコストを削減し、サイトの価値実現までの時間を短縮するだけでなく、サイト構築に特化したAIエージェントのような革新的な機能でも際立っています。多くのプラットフォームがAIを主にコンテンツ作成に使用している一方で、私たちのAIエージェントはさらに進んで、カスタムコンテンツタイプの作成、タクソノミーの設定などの高度なタスクを可能にしています。

この種のイノベーションは、本当にDrupalのルーツにつながっています。初期のDrupalは先見性のある革新的なCMSとしての評価を得ました。私たちはassembled web(現在は”composable”と呼ばれます)の先駆けとなり、Web 2.0の基盤に貢献しました。DrupalはWeb 2.0という用語が存在する遥か前から、ブログ、RSS、コメント機能などを搭載していました。かなり前のことなので多くの人が覚えていないかもしれませんが、DrupalはjQueryを採用した最初のCMSでした。この動きは、jQueryを普及させ、ウェブ開発の基礎技術として確立することに重要な役割を果たしました。

Drupal CMSのAIエージェントが何をできるか気になりますか? Ivan Zugecの動画をご覧ください。これらのツールが専門家の開発者にとってもサイト構築タスクをいかに簡素化するかを実践的に示しています。 

 AIエージェントが私たちをどこに導くのかは正確にはわかりませんが、探索し、学び、成長することに興奮しています。未知の領域に大胆に踏み出し、実験していた初期の頃のような感覚です。

ユーザーの認識を変化させ、多くのユーザーに普及させる

Drupalはしばしば複雑だと見なされてきましたが、Drupal CMSはその認識を変えるように設計されています。しかし、単により使いやすく保守しやすい製品を作るだけでは十分ではないことも分かっています。24年経った今でも、多くの人々が10年以上前の経験によって形成された古い認識を持っています。

それらの認識を変えるには時間と意識的な努力が必要です。そのため、Drupal CMSイニシアチブはソフトウェアの構築だけでなく、Drupalがどれだけ進化したかを強調する方法でDrupalの再ポジショニングとマーケティングにも焦点を当てています。

Create ambitious DX

これを実現するために、私たちはブランドを刷新し、Drupal AssociationとDrupal認定パートナーの助けを借りてDrupal.orgの再構築を開始しました。更新されたブランドは、より新鮮で、現代的で、より広範囲のユーザーに訴求力があります。

Drupal Associationはメッセージを伝えるために、初めて2人のフルタイムのプロダクトマーケターを採用しました。

私たちの目標は明確です。人々が古い認識を乗り越え、Drupalを真の姿で見てもらうことです。

つまり、より使いやすく、コストをかけずに構築・保守できるウェブサイトのための強力で現代的なプラットフォームとしてのDrupalです。

協力を通じて大胆な目標を達成する

Drupal CMSイニシアチブの立ち上げは大胆かつ野心的な挑戦でした。コミュニティには多大な努力が求められましたが、メンバーたちは見事にその期待に応えてくれました。このイニシアチブは単にDrupalのセカンドバージョンを構築するものではなく、それ以上の野心的なものでした。市場を拡大し、ブランドを現代化し、イノベーションを加速し、マーケティングを拡大し、パートナーエコシステムを大きく構想しなおすための、焦点を絞った包括的な取り組みでした。

8ヶ月前にDrupal StarshootとDrupal CMSを発表したとき、チームに向かって「これをどうやって実現するんだ?」と尋ねたのを覚えています。チームを構築し、目標を設定し、前進する道筋を描くなど、多くのことを解決する必要がありました。不確実性と決意、そしておそらく「私たちは何に巻き込まれたんだ?」という気持ちが入り混じっていました。

成功の重要な要因は、貢献者、エージェンシーパートナー、Drupal Core Committer、Drupal Association スタッフ、Drupal Association 理事会の間でより強い協力を促進したことでした。この強力な連携は偶然ではありません。全員がより密接に協力するための慎重に構造化された会議とガバナンスの改善の結果です。

わずか8ヶ月後、結果は一目瞭然でした。Drupal CMSは、Drupalへのイノベーションのペースと貢献のレベルを大幅に向上させました。これは、私たちが協力して達成できたことの証です。イニシアチブ開始以来、300人以上のコントリビューターから2,000以上のコミットがあり、彼らの活動が40%増加しました。

organization credits on strategic initiatives

Drupal CMSは、革新的な開発とコミュニティの協力関係を大きく促進する原動力となってきました。2024年に開発が始まって以来、コントリビューションが急増しています。戦略的イニシアチブに対する組織のクレジットは2023年と比較して44%増加し、個人のコントリビューションは37%増加しました。ユニークなコントリビューターの数は12.5%増加し、参加組織は11.3%増加しました。

このイニシアチブは、2024年の始めには予想していなかった大きな時間的コミットメントを必要としましたが、私は深く感謝しています。Drupal CMSのリーダーシップチームは、課題に正面から取り組むため、少なくとも週2回、しばしばそれ以上の頻度で会議を行いました。同様に、私はDrupal Associationとの週次ミーティングも行いました。 その過程で、私たちは新しい作業原則を開発しました。重要な原則の一つは、まずエンドユーザーの問題を解決することで、あらゆるエッジケースに対応しようとするのではなく、マーケターが本当に必要としているものに焦点を当てることでした。もう一つは、プロセスよりもスピードを優先することで、迅速に革新し適応できるようにしました。これらの原則はまだ進化中であり、リリースが終わった今、チームとともにさらに洗練させていきたいと考えています。 私たちが一緒に行った作業は、集中的で、活力に満ち、時には締め切りに間に合うかどうか不確実さに満ちていました。私たちは強い絆を築き、迅速で効果的な決定を下す方法を学び、前進の勢いを維持しました。この経験により、私たちの共通のミッションにはこれまで以上の連帯感を感じるようになりました。

2025年のDrupal CMSロードマップ

この成果がどれほどエキサイティングなものであっても、私たちが目指したすべてを達成したのかと尋ねる人もいるかもしれません。答えはイエスでもありノーでもあります。協力とイノベーションにおいては私の期待を超え、信じられないほどの進歩を遂げました。しかし、まだやるべきことはたくさんあります。多くの点で、私たちはまだ始まったばかりです。3年間の製品戦略の3分の1にも満たない段階です。

Drupal CMS 1.0がリリースされ、2025年は力強いスタートを切りました。2025年のロードマップは明確です。Experience Builder 1.0の提供を開始し、マーケター向けの即戦力となるレシピを順次追加していきます。また、ドキュメントの充実化を図るとともに、Drupal.orgの各所に新しいブランドデザインを適用し、革新的な取り組みも積極的に進めていきます

Open Webの推進者として活動しながらDrupalを現代化し、野心的なデジタル体験を構築したいマーケターと開発者にとってDrupalを最初の選択肢にすること。これが私たちのゴールです。

Drupalコミュニティに感謝

私たちは真のオープンソースの方法、すなわち協力的に、透明性を持って、コミュニティの貢献によって推進するという方法でDrupal CMSを構築しました。これは、オープンソースがソフトウェアを構築する最良の方法であることを再び証明しています。

Drupal CMS 1.0の成功は、数え切れないコントリビューターの仕事を反映しています。特に以下の主要なコントリビューターとその組織に感謝しています。

(アルファベット順)

Jamie Abrahams (FreelyGive), Gareth Alexander (Zoocha), Martin Anderson-Clutz (Acquia), Tony Barker (Annertech), Pamela Barone (Technocrat), Addison Berry (Drupalize.me), Jim Birch (Kanopi Studios), Baddy Breidert (1xINTERNET), Christoph Breidert (1xINTERNET), Nathaniel Catchpole (Third and Grove / Tag1 Consulting), Cristina Chumillas (Lullabot), Suzanne Dergacheva (Evolving Web), Artem Dmitriiev (1xINTERNET), John Doyle (Digital Polygon), Tim Doyle (Drupal Association), Sascha Eggenberger (Gitlab), Dharizza Espinach (Evolving Web), Tiffany Farriss (Palantir.net), Matthew Grasmick (Acquia), Adam Globus-Hoenich (Acquia), Jürgen Haas (LakeDrops), Mike Herchel (DripYard), J. Hogue (Oomph, Inc), Gábor Hojtsy (Acquia), Emma Horrell (University of Edinburgh), Marcus Johansson (FreelyGive), Nick Koger (Drupal Association), Tim Lehnen (Drupal Association), Pablo López Escobés (Lullabot), Christian López Espínola (Lullabot), Leah Magee (Acquia), Amber Matz (Drupalize.me), Lenny Moskalyk (Drupal Association), Lewis Nyman, Matt Olivera (Lullabot), Shawn Perritt (Acquia), Megh Plunkett (Lullabot), Tim Plunkett (Acquia), Kristen Pol (Salsa Digital), Joe Shindelar (Drupalize.me), Lauri Timmanee (Acquia), Matthew Tift (Lullabot), Laurens Van Damme (Dropsolid), Ryan Witcombe (Drupal Association), Jen Witowski (Lullabot).

また、マーケティング委員会、コア・コミッター、Drupal Association理事会、Drupal Starshot諮問委員会の皆様にも感謝します。彼らの指導と戦略的な意見がこのイニシアチブを形作りました。

ここでいくつかのコントリビューターを強調しましたが、コード、テスト、UX作業、フィードバック、活動支援者などを通じてDrupal CMS 1.0を形作った何百人もの人々がいることを知っています。大小問わず、それぞれの貢献が私たちを前進させました。このマイルストーンの構築を助けてくれたすべての人に感謝を捧げます。

By Dries Buytaert

 

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この記事を書いた人: Kuniyoshi Tone

ANNAI株式会社

デジタルマーケティングを担当。金剛山を遠くに眺めて大阪からリモートワークしています。