新型コロナの影響により、2020 年・2021 年に予定されていた Drupalcon はキャンセルまたはオンラインでの開催のみとなっていました。そのため、2022 年 4 月 25~28 日に開催された Drupalcon Portland は実に 2 年ぶりのオンサイトイベントとなり、主催者・参加者ともに大変喜び、盛り上がっているのがとても印象的でした。また、参加者は少しでも接触を減らす目的で、ハイタッチや握手の代わりにフィストバンプ(お互いの拳同士を軽く当てる)をしている光景をしばしば目にしました。それでもやはりハグしている参加者も多く目にしました。
参加者数は 1,300 人と、通常 3,000 人程度を集めるアメリカの Drupalcon としては比較的小規模でした。新型コロナにより、アメリカへの渡航が困難だったり、多くの人が集まるイベントへの参加を躊躇したことが原因かもしれません。
スケジュール構成
今回の Drupalcon はスケジュールの組み方が以前とは大きく異なりました。例えば、以前はドリスによるキーノート「Driesnote」は常に Drupalcon 初日の最初のセッションでした。しかし今回 Driesnote はイベント 3 日目の 2 セッション目に設定されていました。普段は会えないコミュニティーメンバー達と夜のパーティーで交流することも Drupalcon に参加する上での大きな魅力ですが、そのぶん翌朝に早起きするのは大変なため、Driesnote を逃す参加者が多いのも実情です(笑)。ひょっとしたら今回のスケジュール構成には、そのような問題への配慮が含まれているのかもしれません。
また、トレーニングなどの有料セッションが午後に開催されたこと、またコントリビューションスプリントと一般のセッションが並走したのも、今回が初めてと思われます。
ウクライナの支持
ドリスによるキーノート「Driesnote」の冒頭で、ドリス個人および Drupal Association がウクライナへの支持を改めて表明しました(声明はこちらに掲載されています)。また国別で見た場合、Drupal コミュニティーにおいてウクライナの開発者による貢献が世界 6 位であること、また人口比で見た場合にはウクライナコミュニティーの貢献度はトップ 3 に入るであろうことなどが触れられました。そして、現地のコミュニティーメンバー達からのビデオメッセージが流され、その中の 1 人は前線と思われる場所で迷彩柄の防護服を装備した開発者だったことが大変印象的でした。ロシアによるウクライナ侵略戦争が一刻も早く終わることを個人的にも強く願っています。
Driesnote で語られた Drupal 10 の現状および Drupal 11 の方向性は非常に興味深いものでした。これについては別のポストにて詳述します。
新型コロナ対策
海外の大型イベントに参加する上で懸念されるのは新型コロナの感染リスクです。2022 年 4 月の時点では、イベントの開催されたオレゴン州においては大規模イベントにおけるマスクの着用は義務付けられていませんでした。しかし Drupalcon Portland においては参加者の安全を重視し、会場ではマスク着用が義務付けられていました。会場にてマスクを外すことが許されていたのは食堂での昼食や休憩時、またスピーカーとしての登壇中のみでした。
また、会場内のあちこちに消毒用アルコールのディスペンサーが用意されていたのはもちろん、会場の入口近くには簡易テストを受けられる車が常駐しており、コロナの症状がある場合はすぐにテストを受けられる体制が整えられていました。このように Drupalcon における新型コロナ対策は連邦政府および州の法律で定められている以上の対応をしていました。そのお陰でイベントには安心して参加することができ、新型コロナに感染することなく無事帰国できました。
なおイベント後の Drupal Association からのメールによると、会期中に陽性と認められた参加者は 2 名で、参加者で会期後に陽性と判定された場合は追跡調査のために連絡してほしい旨通知していました。
さいごに
新型コロナのために渡航が難しいなか、Drupalcon Portland には、アメリカ国内だけではなく、フランス、オーストラリア、インドをはじめとする様々な国から大勢が参加していました。新型コロナの影響で規模は例年に比べて比較的小さかったものの、いつものように活気にあふれフレンドリーさに満ちた素晴らしいコミュニティーイベントでした。次回からは、より安全に渡航や参加が可能になり、以前のように開催できるようになることを願ってやみません。
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