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Drupal 海外事例:Cutting Costs, Increasing Efficiency for the State of Georgia

ジョージア州技術局は、州のデータセンター+システムで維持管理していたしていた55のサイトをDrupalに移行し、クラウドにて管理する方法に変更しました。移行して5年になりますが、その後の効果はどうなっているのでしょうか?

プラットフォームの運営コストが65%にまで削減

2012年に150万ドルだった運営予算が2015年には51.3万ドルにまで削減できました。これは運営費を65%にまで削減したことになります!この削減の多くはホスティングコストの削減によるものです。

クラウドの導入により、ホスティング費用を45.6万ドルから12万ドルに削減しました。毎年10%ずつホスティング費用が増えていった状況を脱することができました。加えてソフトウエアのライセンス費用、サポートスタッフに関する費用を75%も削減しました。

効率性を劇的に改善

現在、ジョージア州のウェブサイトは80以上のサイトがあり、430人ほどの編集者が関わっています。ということは、ものすごくたくさんのコンテンツがアップされているということです。

Drupalはコンテンツ編集者の運営の手間を劇的に効率化しました。コンテンツアップデートに10-15分かかっていたものを、1分でできるように効率化したのです。ジョージア州技術局の開発チームもこの効率化の恩恵を受けました。新しい機能開発に集中できるようになったのです。

ユーザー第一主義に

ジョージア州がもっとも重きを置いているのは、外部企業とコラボレーションして市民にベストなサービスを提供することです。外部の企業は実装など技術的な部分に特化して活動し、ジョージア州のチームは戦略策定やサイトをユーザー志向にして、コンテンツ重視、モバイルでも見やすくする、などに特化しました。

ユーザーの各種情報(ページビュー、ユニークユーザー、合計セッションなど)においては、2012年以来、各数値が2倍になるなどの成果をあげました。

なぜDrupalが選ばれたのか

85の機関、1400の地方自治体団体がITインフラとネットワークを利用する場合、効率的かつ費用対効果の高い情報フローが必要です。ジョージア州技術局は、長期的に見て、既存のCMSではその役割を担うことが難しいと感じており、Drupalに移行して、あらゆる部分で柔軟性をもたせたいと考えていました。

なぜDrupalが選ばれたかというと、他の公共機関で実績があり、セキュアで拡張性の高いCMSであることが証明されていたからです。ジョージア州技術局は、技術に明るくない人でもコンテンツを管理できたり、エンタープライズ水準の機能性を備えていることを求めていました。彼らは、Drupalが各機関に固有の機能を提供しながら、サイトとしての一貫性を強化する能力がある点と、柔軟にいろいろな機能を活用できることなどを知っていました。

プロジェクトについて(ゴール、要望、成果)

OpenPublicという自治体向けDrupalディストリビューションの活用を出発点として、プロジェクトチームはジョージア州の時代遅れのコンテンツ管理システムを移行、再構築、再設計、サポートする戦略を策定し、それらを統合しました。

該当する49の全てのサイトは納期位通り、予算内にて移行、統合が完了しました。加えてプラットフォームが直感的でユーザーフレンドリーだったので、追加で14のサイトがクライアントのチームによって作成されました。

要望

新しいプラットフォームを構築する前に、ジョージア州は60以上のサイトを運営管理していました。非常に多くのサイトが関与しているため、プロジェクトのステークホルダーの数は非常に多い状態でした。移行を計画して実行することはできますが、新しいプラットフォームに移行するように関係者を説得するには、古いシステムとの機能上の妥協点や、価値のある移行を実現するための新しい機能が必要でした。

結果的にこの状況はいくつかの要望となって現れました。

  • 一つのコードベースで複数のデータベースを管理すること。そうすることで新機能が簡単に実装できるようになる
  • ジョージア州の高い基準に見合ったセキュリティや権限管理設定
  • 管理する全てのサイトや子サイトにGoogle Search Applianceを適用し、検索結果を反映すること
  • 使いやすく、信頼性の高いサイトに
  • 柔軟性を損なうことなく、デザインや機能に一貫性を持たせること
  • コミュニケーション上の目標おを達成するための新機能
  •  

Georgia.GovやGeorgia Bureau of Investigationなどの特定のサイトでは、各機関の使命などを実現するための独自機能が必要でした。ジョージア州のメインプラットフォームとして、Georgia.govは関連する全ての機関や郡を紹介するために、カスタムコンテンツタイプが必要でした。

ジョージア州調査局は、サイト訪問者向けのカスタムインターフェイスを使用して、特定のケース情報を公開する必要がありました。これを実現するために、Drupal上で新しいコンテンツタイプやビューセットを作成し、ユーザーが特定の情報にアクセスしやすいようにフィルタをかけられるようにしなければなりませんでした。加えて、このコンテンツは、この特定のサイトにのみ有効にできるようにする必要がありました。

私たちのゴールの一つは、傘下の機関がサイト移行するインセンティブを提供するために、いくつかの追加機能を追加することでした。

Youtube連携

一部の機関はYouTubeにビデオコンテンツを配置して複数媒体にまたがって発信していますが、埋め込みコードやその他のものを使って、自分のサイトにYouTubeコンテンツを配置する必要がありました。動画埋め込みモジュールと組み合わせた新しい動画コンテンツタイプは、URLをコピーするのと同じくらい簡単に動画を相互掲載します。その結果、Youtubeを使い続けながら、自分のサイトでも同じ動画を紹介できるという好循環が生まれました。

フォトギャラリー

写真ギャラリーは一般的な要求で、いくつかの形式で表示されます。私たちは、簡単で使いやすいフォトギャラリーを構築して、ここの写真をプロモーションしやすくしました。サイトにアップされた全ての写真は、メインメディアページの下でストリーム上に流れてくるようにしました。この機能により写真ギャラリーのような体験ができる仕組みとしました。

イベント

イベントに関し、これまでジョージア州の各機関は、iFrameを使ってグーグルカレンダーやそのほかのものにスケジュールを転送していました。新しいプラットフォームでは、時間と場所の情報を紹介するイベントコンテンツタイプと、コンテンツクリエイター向けに予定されているイベントを自動的に告知できるようになっています。各機関がこの機能を活用することにより、イベントの告知ができるだけでなく過去のイベントもアーカイブできるようになりました。

Webform

各機関がフォームをサイトの好きなところで利用できるように、Webformというモジュールを提供しました。このことでこれまで使っていたサードパーティー製のフォーム機能から乗り換えが始まりつつあるので、各機関はフォームにて独自のデータを蓄積することができます。加えて、このプロジェクトのために”webform_deter”というモジュールを作成し、受け取った情報の個人識別を可能にしました。

このことにより、匿名の訪問者が州の機関に連絡する際に、必要としない情報を公開する可能性を低くします。加えて、この機能は既存のウェブフォームと連携できるので、サードパーティーのウェブフォームもCMSの中の機能として管理することも可能です。

加えられた新機能は、各機関の活動をより強固なものにし、ソーシャルメディアでの広報活動を体系化するだけでなく、コンテンツ生成を非常にしやすくしました。結果としてジョージア州に暮らす人々はより良い情報にアクセスできるようになりました。

サイトの移行

ジョージア州のサイトは60に及ぶ各機関のサイトがあり、Vignetteというシステムに備わる諸々の昨日も含めて移行する必要がありました。移行を成功させるために、OpenPublicを移行先として移行スクリプトの開発に取り組みました。これにより、インフォメーションアーキテクチャとサイト構築中に、移行作業を開始することができました。

プロジェクトの最初の段階で移行に取り組めたことのメリットはたくさんありました。Drupalのコアな部分への移行に役立っただけでなく、コンテンツに対して適切なインフォメーションアーキテクチャを確認することにも役立ちました。

実際の移行作業の時に予期しない問題を回避する、という目標があったので、コンテンツの検査、編集など、必要に応じて開発環境での再実行が可能な事前検証期間を導入しました。コンテンツ編集者は開発環境での事前検証を完了し、ステージング環境でクライアント様が同じ内容を確認するようにしました。

以降の最終段階では2段階で目視確認を行いました。それにはシステムにエラーがないかどうか、などをクライアント様のチームが確認しました。このプロセスを通じて、すべてのコンテンツは、機関によって必要と思われる追加改善も発生しました。人間による目視確認が行われることにはなりましたが、ローンチ前にたくさんのマニューヤコンテンツのアップデートがなされることにもつながりました。

技術的な移行スクリプト以外にも、移行モジュール(Migrate)を使用して多くの便利な機能が提供されました。

  • オリジナルURLを計測して比較すること
  • オリジナルコンテンツと移行したコンテンツを表示するためのチェックボックスを作成すること
  • 個々のノード移行のためのログ作成

34,000に及ぶコンテンツ調査は不可能でしたが、コンテンツ監査を慎重に行うことにより、新しいサイトへの移行で何も失われることはありませんでした。

終わりに

いかがでしたか?これだけたくさんのサイトが関与する統合プロジェクトは、移行そのものも大変な労力がかかることを垣間見ることができますが、結果としてユーザー体験を向上しただけでなく、運営コストを65%にまで抑えることができたというのが何よりの成果だったんだろうと思います。

大規模サイトではこの事例で挙げたようなウェブガバナンスが求められます。その際にはぜひDrupalをご検討ください。

 
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この記事を書いた人: Kentaro Inoue

ANNAI株式会社
マーケティングマネージャー
サービスの設計・企画、マーケティング、採用戦略の立案などを担当。普段は新潟で猫と一緒に、時々海外からリモートで働いています。好きなモジュールはRulesとFlagです。

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