商用CMSからDrupalへ移行、アメリカの鉄道会社 Metra社の導入事例

この記事は 「Drupal Case Study : Metra Website」 の翻訳です。

metra

こんにちはANNAIの井上です。今回はアメリカの鉄道会社のDrupal7を導入事例のご紹介します。Metra社は商用CMSで運用していたサイトを、Drupal7でリニューアルしました。商用CMSからDrupalに移行することによって得られたメリットとはどんなものがあったのでしょうか?それではどうぞ。

Drupal 8 海外事例:Metra Website

地方交通ネットワークの一環として、Metraは北東イリノイ州の経済上重要な、安全で信頼性の高い通勤鉄道サービスを提供しています。Metraは地域全体のコミュニティを結ぶ、世界クラスの通勤鉄道会社であることをビジョンとして掲げ、以下に取り組んできました。

  • お客様に最も安全で最も効率的で信頼性の高いサービスを提供する
  • 次世代のインフラを維持する
  • 継続的な改善、革新、透明性を達成するための業界をリード
  • 北東イリノイ州全体の経済的活力を促進する


サイトのリニューアル前は高額なライセンス料金とホスティング料金が必要な商用CMS、Adobe CQを使用していましたが、これらのビジョンをウェブ上で達成するには不十分でした。特に予期しない高トラフィック時に対応することができませんでした。

また、サイトのメンテナンスは難しく、単純なコンテンツの変更を行うにもHTMLとCSSの知識が必要でした。 さらに、サイトのトラフィックの2/3近くがモバイルデバイスからのアクセスであるにも関わらず、モバイル対応されていないコンテンツも存在する状態でした。 Metraは、イリノイ州の人々によりサイトを利用してもらうためには、ウェブサイトの徹底的な見直しが必要である、と感じていました。

なぜDrupalが選ばれたのか?

  • オープンソースであること
  • 開発の共有のしやすさ
  • 定期的なセキュリティ更新
  • コンテンツ追加時の柔軟性
  • 低価格
  • 各種サービスやシステムとの統合の容易さ:
    • Esriの地図
    • グーグルアナリティクス
    • GTFS
    • IssueTrak
    • Mailchimp / Mandrill
    • オープンIDコネクト
    • PubNub
    • Solr
    • Twitter


Metraはオープンソースソフトウェアによる、サイトの再構築に前向きでした。開発コミュニティの規模(将来的なサポートや開発リソースの豊富さに影響)、他のシステムとの統合のし易さ、コンテンツや機能追加時の柔軟性を考慮した結果、最終的にDrupal7を選択しました。また、導入のしやすさと、継続的なサポートコストも重要な要素でした。Metraは顧客のためにも、可能な限り効率的に予算を費やすことを真剣に考えていました。

プロジェクトについて(目標、要件、結果)

  • モバイルデバイスへの対応
  • エンジニアでなくてもサイトの管理が可能
  • クラウドホスティング
  • セキュリティの向上
  • メンテナンスを容易にする


およそ160,000人の顧客が、日々の通勤や旅行のためにこのサイトを利用しているため、Metraは新サイトに対して高い要求を掲げていました。 サイトには運行スケジュール、リアルタイムでのスケジュールの変更(遅延が30秒ごとにチェック、更新される)、駅の状態(エレベーターの操作、搭乗場所の変更、駐車情報、チケット情報)など、最新の情報を提供する必要があります。 

さらに、このサイトは顧客とコミュニケーションをやりとりする中心的なハブとして機能します。 Eメールやツイッターアラートの中心的なハブとして機能し、顧客の関心や要望を受け取り、それらを組織内の担当者に受け渡す役割を担います。

これらのことを念頭において、新サイトではあらゆるユーザーがどのデバイスからでも快適に閲覧できるように設計を行いました。通勤の際に多くの利用者がスマートフォンから情報を得ているので、これは非常に重要なことでした。

さらに、列車のスケジュール、リアルタイムのアラートおよび更新は、Metraの顧客が直感的に利用できるようにする必要がありました。 したがって新サイトでは、サイト上に表示されている最新のアラートと、これから来る電車を検索することができます。 また、ユーザーはお気に入りのルートを保存する事で、毎日使用する電車のスケジュールを簡単に確認できるようになります。 情報は更新は30秒ごとに提供されます。サイトのパフォーマンスを維持するため、データはPubNubを介して配布されます。これによりアプリケーションレベルのキャッシュメカニズムが不要になります。

また、ユーザーは運行しているルート上のすべての電車の位置を、地図上でリアルタイムに知る事ができます。これにより、次の列車の到着を視覚化に知る事が可能になります。

運行スケジュールを確認するための機能もアップグレードされ、より多くの情報が提供されるようになりました。顧客は、2つ停車駅間のスケジュールを表示するか、その線全体のスケジュールを表示するかを選択できるようになりました。列車が予定より遅れている場合や、停車駅の変更など、運行に影響を与える情報がある場合には列車が赤く表示されます。

これら以外にも、システム全体でユーザーアカウント情報を共有できるようにすることは大きな目標でした。 旧サイトでは、ユーザーは使用する機能毎に異なるアカウントを作成する必要がありました。 新サイトでは、中央のIDサーバーを使用して、Metraの一連のサイトの全体で、1つのアカウントを作成し、個人のEメール設定、お気に入りルートとアラート、ビジネス情報、および定期的なチケットの注文を管理できます。

最終的な要件は、Metraスタッフがコンテンツとコードの両方の面でサイトの真のオーナーになることでした。 以前のウェブサイトでは、これら両面がブラックボックス化していました。基本的なコンテンツの更新は外部の開発者に依頼しなければならず、MetraのITスタッフがサイトコードの実際の挙動を把握する事はできませんでした。 新しいDrupalサイトでは、コンテンツ所有者はサイトのコンテンツを直接変更するための権限を保有しています。また、ワークフローを使用してコンテンツを編集管理することも可能になりました。

旧サイトではMetraのスタッフが管理できないプラットフォームとプロセスに縛られていましたが、新しいサイトは完全にMetraの管理下にあり、お客様のニーズに迅速に対応することができます。 MetraのITスタッフは、独自のカスタムモジュールを作成し、開発プロセス全体を通じてコードを継続的にレビューすることで、新しいサイトを共同で開発することができるようになりました。

2016年6月末の新しいmetrarail.comウェブサイトのリリースは、Metraのお客様とスタッフの両方にとって成功となりました。

  • 開始から1ヶ月後、スタッフはすでに550を超えるコンテンツの変更をサイトに行いました。
  • セッション当たりのページ閲覧数は以前のサイトよりも確実に増加しました。
  • 新規セッション数は8%増加しました。


さらに、このサイトはカブスワールドシリーズのパレードとラリー(2016年11月4日)の日という最も負荷のかかる状況下で安定して稼働しました。過去2年間で最もトラフィックの多い日より、15%多くのトラフィック(普段の通勤ラッシュ時の3倍)を処理することができました。このサイトはこれからも安定して稼働続けるでしょう。

おわりに

商用CMSではライセンス料や、開発体制やリリース体制がそのCMSを提供している会社に依存するなど、Metra社が抱えていたような悩みが生じます。また、商用CMSではライセンス料を払っているから、質の高いサポートを受けられるかというと、そうとも言い切れません。では、オープンソースCMSではこれらの不安はないのでしょうか?

DrupalやWordPressのようなオープンソースのCMSを利用すればライセンス料はかかりません。では、開発体制やリリース体制についてはどうでしょうか?

オープンソースではこれらの体制は開発コミュニティに依存します。そのため、開発コミュニティが衰退するとリリースが止まってしまう場合もあります。しかし、これは商用CMSにも同様の事が言えます。会社が提供を辞めてしまえばそのCMSのサポートはされなくなってしまいます。つまり、コミュニティの大きさや活発に活動しているか、という点が非常に重要な要素になります。

community

Drupalのは世界中の3万5000人以上のコミュニティメンバーによって支えられている、非常に規模の大きなオープンソースプロジェクトです。そのため、リリースがストップしてしまうリスクは他のオープンソースCMSや、商用CMSに比べて極めて低いと言えます。また、コミュニティには専門のセキュリティーチームが存在し、セキュリティーに関するアナウンスや更新などが定期的に行われています。また、各バージョンのサポート期間も明確に決められています。

参考:Drupalコアのリリースサイクル

Drupal開発会社を選ぶ場合にはこういった、コミュニティによる開発体制を十分に理解し、リリースサイクルに応じた、適切な運用・管理体制を提案できる会社かどうかが大切となります。参考になれば幸いです。

Drupalお役立ち資料ダウンロード