DrupalCon Vienna 2017で見えたDrupalの方向性

この記事は 「State of Drupal presentation (September 2017)」 の翻訳です。
この記事の目次

昨日、DrupalCon Viennaで Drupalのプレゼンテーションを発表しました。私はスライドを共有すると共に、 Drupalがどのように進化しているのか、Drupalは誰のためであるのか、そして私たちが焦点を当てるべきものについてさらに詳しく説明したいと思います。

Drupalは成長し変化しています

私はDrupalが成長していると説明し基調講演を始めました。この1年間で、コミュニティへの関与は増員し、Drupal 8の導入が強化されました。これは2017 Drupal Business Survey内でも次のように裏付けられています。Drupal代理店の幹部239人への調査結果は、Drupal 8が彼らにとって標準バージョンとなり、Drupalビジネスのほとんどが成長していると報告されています。

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Drupal 7からDrupal 8への移行は完了していませんが、Drupal 8のイノベーションは加速し続けています。貢献したモジュールの生態系の成熟が、この1年間に安定したモジュール数が2倍以上になったことからも分かります。さらに、4,000以上のモジュールが開発中です。

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また、成長に加えDrupal周辺のベンダーとテクノロジー両方の状況が変化してきています。私の基調講演では、ベンダーの状況における3つの主な転換について言及しました。1つは、市場の低価格を代表する単一ブログ、ポートフォリオサイト、パンフレットサイトは、SaaSツールが最も効果的ということです。しかし一方では、エンタープライズベンダーの大部分は、コンテンツ管理を超えてより大きなマーケティングのパッケージソフトに移行しています。最後3つ目として、ヘッドレスCMS市場セグメントが急速に成長しており、一部ベンダーは前年比で500%の成長を遂げています。
また、Drupalを取り巻く技術環境にも大きな変化があります。Drupupalエージェンシーの増加に伴い、最新のJavaScriptテクノロジーの使用が開始されています。例えば、Drupal代理店の50%以上がNode.jsを使用して顧客ニーズをサポートしています。

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ベンダーのビジネス規模が大きくなり、Drupal周辺のテクノロジーの採用が増えてきているという状況は、Drupalにとっては機会にもなり脅威にもなるかもしれません。コミュニティの人々からたくさんの意見を聞いて今思うのは、Drupal 8の長い開発と採用のサイクルなども絡んだ上で、このようなトレンドがDrupalにとってどのような意味があるのか懸念が残る、という点です。

Drupalはシンプルサイト用では、もはやありません

この1年、私はボルチモアの基調講演と私のブログの両方で、Drupalがチャレンジングなデジタル エクスペリエンスのためだとなぜ信じているのかを説明してきました。しかし、私が「チャレンジングなデジタル エクスペリエンス」で意味するものについてより詳しく説明する価値があると思います。まず私たちは戦略を全力で推進するためにもDrupalが誰のためなのか理解することが重要です。

今日Drupalは、単純なサイトでは最早なくなったと私は信じています。それに変わり、Drupalが最も効果的にできることは、あるレベルのカスタマイズや柔軟性を必要とするサイトやデジタルエクスペリエンスです — 私が「リッチネス」と呼ぶものです。

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アンビシャスとはエンタープライズ以上のものです

この区別は重要です。なぜなら「アンビシャス」という言葉が「エンタープライズ」と融合していると思うからです。私はDrupalがエンタープライズに最適だと同意しますが、個人的にはそのような分類は好きではありません。Drupalを使用するのは大規模な組織だけではありません。個人や小規模なスタートアップ、大学、博物館や、非営利団体もチャレンジングなプロジェクトを手がけることができ、Drupalは彼らの素晴らしいソリューションでありえます。

その一例として、50の賃貸物件を管理する中小企業が挙げられます。彼らには多くのアクセス(リーチ)はありませんが、ビジネスをサポートするためには、eコマースシステム、予約システム、カスタマーサポートツールとの統合が必要でした。割り当てられた予算は5万ドル以下。この企業はエンタープライズビジネスとはみなされません。しかし、Drupalはこの使用事例に最適なのです。多くの意味で、「企業外の大規模的なデジタルエクスペリエンス」は、Drupalエコシステムの大半を占めています。私のプレゼンテーションで明らかにしたように、私たちはそれらを残して進めて行きたくはありません。

 

小規模な組織のニーズに対応

Drupalエコシステムの大多数は、SaaS構築者がサポートできない中〜高位のリッチネスを必要とするサイトを持つ組織です。しかし、エンタープライズ企業のレベルで拡張する必要もありません。Drupalコミュニティがこの大多数をどのように最善な方法でサポートできるかを検討している中で、小規模なDrupal代理店の多くやエンドユーザは、次の2つのメリットを指摘しています。

1:強力なサイト構築ツール。

彼らは、使い方が簡単で使いやすいサイト構築ツールがほしいと思っており、数十種類のモジュールをインストールして設定する必要はありません。また、予算が少ないため、多くのカスタムコードを書くことを避ける方が望ましいでしょう。サイト構築を改善するツールとして、Drupalの今度のレイアウトビルダー、ワークスペース、メディアライブララリーはとても良い例です。Drupal独自の管理UIの一部をよりパワフルで使いやすくするため、最新のJavaScriptをコアに追加することを私は提案しました。

2:簡単な更新とメンテナンス。 

各Drupal8サイトは継続的なイノベーションの恩恵を受けていますが、より頻繁に更新する必要もあります。新しいDrupal8のリリースサイクルには、毎月のパッチリリースと6ヶ月のマイナーリリースがあります。また、サイト運営者は拡張モジュールの都度更新との両立をしなければなりません。さらに、サードパーティのライブラリーへの依存や、誰もがComposerを使用することができないため、サイトの更新がより複雑になることがよくあります。小規模ユーザーや代理店の多くは、Drupal8サイトの維持と更新が手作業で、あまりにも複雑かつ高額になりすぎる可能性があるため、自動アップデートから大いに利益を得るでしょう。

サイトビルダーツールの改善と更新とメンテナンスの簡素化の両方で進歩しています。これらトピックの今後のブログをどうぞご注目下さい。また、私の基調講演録(22:10〜)や、スライドのコピー(56 MB)もダウンロード可能です。