Drupal 初心者講座

第 16 回 Drupal をもっと知りたい方に向けた各種情報

第 16 回 Drupal をもっと知りたい方に向けた各種情報
この記事の目次

コミュニティと Drupal Association

この連載の第 1 回では、Drupal が個人の趣味プロジェクトから始まり、その後、多くの人たちの力によって発展してきたことを書きました。ただし、技術的な筋の良さと、それを感じ取った優秀な人たちが多く集まってきたという、ただそれだけで今日に至るめざましい発展が遂げられたのかというと、おそらくそうではないでしょう。

Drupal の創始者である Dries Buytaert 氏が 2006 年に記したブログ記事「Drupal road trip to San Francisco」を読むと、急速に拡大する利用者への責任を果たすために何をすべきか、FOSS (Free Open Source Software) 界の著名人を訪れて意見を求めていたことがわかります。

サンフランシスコ

サンフランシスコ

その結果、ホスティングのインフラ、マーケティング/プロモーション、イベント企画といったコミュニティ周辺の課題に一元的に対処できる体制が必要、という認識に至ります。ここから、Drupal VZW、DrupalCon, Inc. といった組織を経て、2011年、世界の Drupal コミュニティを支援する法的機関として誕生した組織が Drupal Association です。現在、DrupalCon(最大の Drupal 国際イベント)の運営のほか、drupal.org(公式コミュニティサイト)の運用、世界各地の Drupal コミュニティの成長を手助けする活動、Drupal 開発者向けの無償トレーニングイベントの提供など、その使命を果たすべく精力的な活動を続けています。

自由に使える OSS であるからこそ、こうした法的に認められた権威あるコミュニティ組織の存在は重要です。特定の個人や企業がプロジェクトの精神から逸脱した行為に及べば、当然、Drupal Assciation からの支援やサポートの対象からは外されるでしょう。正規の権威から徹底的に無視されるというペナルティは、それを避けようという動機付けになります。これは、Drupal に関わるすべての個人や組織が適切に価値を共有しあい、貢献しながら、共に発展していくための統治システムと見ることもできます。このシステムを成長の初期段階から戦略的に構築してきたことも「最も成功した OSS プロジェクト」と評される Drupal の重要な特質だと思います。

こうした環境に支えられ、世界各地で Drupal のコミュニティが活発に営まれています。Drupal コミュニティの包括的な情報は、公式サイトの Community ページからたどることができます。日本国内でも、2008 年頃からコミュニティの活動が始まりました。当時は東京や京都で開催される Meetup やオープンソースイベントへの出展参加などが中心でしたが、その後少しずつ他の地域での認知も広がり、現在では全国各地で Meetup などの活動が行われています。以下、国内での活動をピックアップしてご紹介します。

API-First Decoupled Drupal Camp

2019 年 12 月

Decoupled をテーマに多数の海外ゲストが講演

Drupal ONSEN vol.4

2018 年 12 月

洞爺湖での温泉合宿

DEN(Drupal Experience Network) Camp Japan 2018

2018 年 11 月

東京の羽田にて開催。主催は Drupalグループ DEN

Drupal ONSEN vol.3

2017 年 12 月

北海道定山渓温泉で第 3 回目の温泉合宿を開催

Drupal Camp in TOKYO

2017 年 1 月

東京で第 2 回目の Drupal Camp(開発者イベント)を開催

Drupal ONSEN vol.2

2016 年 12 月

北海道登別温泉で第 2 回目の温泉合宿を開催

Drupal Cafe

2016 年 3 月

Drupal Console 開発者のエンゾ・グラシアさんを招いて Meetup

Drupal 8 Release Party

2015 年 11 月

Drupal 8 のリリース記念パーティ

Drupal ONSEN vol.1

2015 年 11 月

北海道小樽で第 1 回目の温泉合宿を開催

Dries Party

2014 年 9 月

来日の Dries Buytaert さんを囲む Meetup

Drupal Camp in KYOTO

2014 年 4 月

京都で第 1 回の Drupal Camp を開催

この他にも国内各地で Meetup やトレーニングイベントが開催されています。Drupal Japan ユーザーグループのページにもイベント情報が掲載されているので、Drupal 関連のイベントを探すときは、こちらをも参考にしてみてください。

あるいは、以下のような告知サイトにもしばしばイベントの案内があります。

お役立ち情報

今後さらに Drupal の理解を深めていきたいという方や、国内のコミュニティで交わされている情報を知りたいという方に向けて、重要な情報源を厳選してご紹介します。

日本語サイト

サイト名説明
Drupal 日本語翻訳チームDrupal.org 内にある日本語翻訳チームページ。日本語化の手順や翻訳プロジェクトに関する情報を掲載。
Drupal Japan ユーザーグループDrupa.org 内にある日本ユーザーグループ。Drupal に関する質問やディスカッションが盛んに行われている。
Drupal 日本コミュニティ Facebook グループ日本コミュニティの Facebook グループ。Drupal 情報や、Drupal イベントに関する情報共有が行われています。
Drupal Meetup Tokyo毎月第 1 木曜日に Drupal 開発者向けのイベントを開催
日本語専用 Slack Workspace申込はこちらから

 

英語サイト

サイト名説明
Drupal.orgDrupal 公式サイト。Drupal 本体やモジュール、テーマのダウンロード、各種資料、コミュニティのフォーラム
Dries BuytaertDrupal 創始者 Dries Buytaert のブログ。Drupal に関わる最新動向など、良質な記事が多数。
Drupal.org Security advisoriesDrupal.org のセキュリティアドバイザリーページ。Drupal セキュリティーチームによってアナウンスされたセキュリティ情報を掲載。
Drupal Security Twitterセキュリティーアドバイザリーや関連情報をツイート。
Global Slack Workspace申込はこちらから
#drupal-japan チャンネルあり

書籍

一冊の本としてまとまった情報はやはり便利です。この連載でも繰り返し紹介してきた ThinkIT の連載『初心者でも挫折しないゼロから始めるDrupal 8入門』は書籍化されていますので、ぜひこちらもチェックしてみてください。Web で公開されている内容をベースにさらにパワーアップした実習書になっています。

  • 著者 : ANNAI株式会社
  • 定価 : 本体3000円+税
  • 初版発行 : 2017年1月20日(金)
  • 出版社 : インプレス

Amazon販売ページ

https://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4295000582/

目次

  • 第1章 Drupal 8の基礎知識とインストール
  • 第2章 コンテンツの定義とカテゴリーの作成
  • 第3章 コンテンツ一覧ページの作成
  • 第4章 ブロックレイアウトとコンタクトフォームの作成
  • 第5章 コンテンツの翻訳と多言語設定
  • 第6章 モジュールのインストール、ユーザー作成と権限の設定
  • 付録A 各種情報ソースとコミュニティ活動
  • 付録B Twigテンプレートに関する基礎知識
  • 付録C Twigテンプレートの命名規則
  • 付録D Drupal 8.xマイナーバージョンアップの追加機能
  • 付録E 主要モジュール一覧
drupal start book

まとめ

連載の締めくくりとして、Drupal コミュニティとそれを支える Drupal Association、そして Drupal をさらに探求していただくための厳選お役立ちリンクを紹介しました。今後の学習や実践に役立てていただければと思います。本連載は今回で最後となります。長らくおつきあいいただき、ありがとうございました。

弊社では、本連載で紹介した入門的な情報に加え、さらに踏み込んだ技術情報やトレーニングの素材なども提供しています。どうぞご参考になさってください。

 
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この記事を書いた人: ANNAI株式会社

ANNAIは、2009年からDrupal専門のWebシステム開発会社として、世界規模で展開するグローバル企業や大学・自治体を中心に数多くのWebソリューションを提供。
CoreやModuleのコントリビューターなど、Drupalエキスパートが多数在籍。国内ユーザーコミュニティへも積極的にコミットし、定期的なセミナーの等の開催を通じて、オープンソース技術の普及や海外コミュニティとの緊密な連携を図っている。
Webシステムの企画・開発〜デザイン、クラウド運用までをワンストップで提供する他、Drupalのコーディングを評価する"Audit業務"や最適なモジュールの調査・選定等、幅広いコンサルティングを行っている。Drupalアソシエーション公式パートナー。

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