ANNAI presents “Drupal Expo 2017 in Japan” 開催レポート

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「新しいテクノロジートレンドが続々発信されてるけど、他企業のマーケティング担当者さんってどういう風にWebをビジネス活用しているんだろう?」
 
「日本企業のDrupal導入事例ってないの?」
 
など、これまでこのようなご質問を色々な現場で伺う機会がありました。私たちのお客様は新規事業担当者やマーケティング関連部署の方が多く、同じような悩みを抱えながら色々と模索されている方も多くいらっしゃいます。だからこそ弊社を通じて横のつながりを作っていただき、お互いの発展のためにやりとりを始めていただけたら、という思いで今回のイベントを主催させていただきました。イベントサイトはこちら
 
イベントは約60名の方に参加いただきました。ご参加のみなさま、お忙しい中お越しいただき大変ありがとうございました。写真のように席も埋まって、主催者としてもホッとしています。
 
さて、イベントでは以下の弊社のクライアント様からの導入事例、パートナーシップを結んでいる海外のDrupal開発企業による開発事例セッションを話していただきました。各セッションのポイントは以下の通りです。

新時代のエンタープライズ・データ・マネジメント(紀野 恵 ANNAI Inc 代表取締役)


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ANNAIという会社はなんのためにあるのか、Drupalとはなにか?という問いかけからセッションが始まり。
 
「アイデアとテクノロジーでゴールに導く」という企業ミッション、「Drupalを世界共通プラットフォームにし、オープンなWebの力をすべての人にシェアすること。」という近未来のビジョンが語られました。
 
プレゼンテーションの中で「DrupalはCMSではなく、データ・マネジメント・プラットフォームである」というコンセプトが打ち出されました。その上でDrupalビジネスに活かしていくことが大事だと説明があり、データを扱うプラットフォームとしてのDrupalの優位性が語られました。
 
オムニチャネル化、既存システム、外部システムとの連携を考えた際に課題となるDrupalの配置ソリューションについて「Drupal デザインパターン」という概念を提唱し、実際にANNAIが提供したソリューション経験からパターン化したいくつかを図解して説明がされました。
 
この中の2つはこの後のセッション、経産省、NTT com様とのプロジェクトに活かされています。

 

エンタープライズ企業におけるオープンテクノロジーの採用状況について(Arnold Leung CEO, Appnovation)


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バンクーバーを拠点に活動するAppnovation社より、グローバル企業のDrupal活用事例について発表がありました。ファイザー製薬とAmerican Lung Assosiationが共同で行っている禁煙対策キャンペーンにて、位置情報とユーザー情報、ソーシャルネットワークを掛け合わせた活動について説明がありました。
 
例えば喫煙の確率が高いを思われる場所(バーなど)に行くと、友達からや自動メッセージで喫煙をやめるようなメッセージが送信される仕組みを、Drupalなどを使って構築したそうです。今後は蓄積されたデータをマシンラーニングなどを使って解析する仕組みを導入し、製薬業界だけでなくヨコ展開していきたいとのことです。

 

電子政府とベンチャープラットフォームプロジェクトについて石井 芳明    (経済産業省 経済産業政策局 新規産業室 新規事業調整官)


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まず政府全体として進めている電子政府の取り組みについて説明がありました。様々な分野をまたいでペーパーレス化、電子化を進めていくプロジェクトが横断的に勧められています。その中の一つの位置づけとして、年間何十万件もある政府の申請業務の電子化、データベース化が構想されています。2017年にオープンした法人インフォメーションもその一環として稼働しています。
 
申請プロセスを高速化し、タイムリーな産業育成につなげて行く試みの端緒として「ベンチャープラットフォームプロジェクト」が始まりました。
 
助成金申請には書類作成、複雑な提出方法などかなり煩雑なプロセスを経なければいけませんが、これをシンプルにWeb上で完結させる試みは経済産業省様とANNAIが行っている研究プロジェクトで、Drupalをプラットフォームとして開発が進められています。

NTT Communications が考える『API First』について  田中 寿一(NTTコミュニケーションズ 経営企画部 統合CP開発タスクフォース主査)


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巨大なエンタープライズ企業であるNTT Communications様にはさまざまなサービスが運営されています。各サービスがAPIを発行し、顧客に新規サービスを作り出してもらうことでAPIを起点としたビジネスのプラットフォームになるという戦略が話されました。
 
そのための重要なポイントとして、APIを利用してアプリケーションを作成する開発者向けのAPI Gateway機能、コミュニティ、情報発信が必要になります。この事例としてANNAIと共同開発したのがこちらのサイトになります。

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これらNTT Comunicationsのサービス、外部SaaS、知見がパッケージされた「API-GW as a Service」のサービス開始がアナウンスされました。
 
また、それぞれのサービスが独自にカスタマー向けダッシュボードや設定画面を持ち、管理コストやブランドの統一を図るというWebガバナンス上の課題に対するソリューションとして、「Druapl + Swagger Spec ~ API仕様からUI自動生成 ~ 」が語られました。
各サービスが独自のカスタマーフォームを作成するのではなく、API Specを記述しそれを元に自動的にDrupalのフォーム、ページ、一覧作成までを行い、API経由でデータを保存するという試みです。
 

  • 簡単: 開発不要、設定変更のみでGUI変更が可能
  • 早い: 記述のみですぐに新たな価値を提供
  • わかりやすい: サービス横断で統一的なデザイン

 
このプロジェクトについてもANNAIと共同で研究が始まっています。

Apigee x Drupal:APIエコノミーを支える開発者ポータル関谷 関谷 和愛(グーグル合同会社 Google Cloud Google Cloud Platform Head of Edge Sales Engineering Japan)

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APIエコノミーという言葉が日本でも聞かれるようになって間もないですが、APIプラットフォームを使って新しいビジネスを構築する支援をしているGoogle様より、事例紹介がありました。
 
APIエコノミーとは?
企業が自らのサービスをAPIとして後悔し、それらをお互いに活用して行くことで、新たな価値を産み出しながら広がって行くデジタル経済圏
 
先進事例としてタクシー配車アプリの事例をご紹介いただきました。
 
配車アプリサービスの強みは、ドライバーと乗客を効率的に繋ぐアルゴリズムであって、それ以外の電話機能、地図サービス、決済サービスなどはAPIを使って実装されているそうです。
 
つまり、全ての機能を自社で開発しなくても、そのジャンルに強いサービスのAPIを活用することで自社のビジネスにを強くしてくれる。それがAPIエコノミーの利点だということがよくわかりました。

開発者ポータルの意義


APIを公開した際の大きな問題点は、どうすればより使ってもらえるようになるのか、という点です。
 
APIを利用して外部サービスを作る実際の開発者へのサポート、エンゲージメントが重要になってきます。このための標準機能を担保し、さらにそれぞれの企業のニーズによって自由なカスタマイズが可能な余地を提供するためにApigeeはDrupalをサービスに組み込むという判断をしました。これにより、ユーザーをApigeeシステムと同期させるAPIキー発行などの基本機能と同時に開発者コミュニティ向けフォーラム、ドキュメントの他言語化などが可能になりました。
 

コンポーネントを使ったDrupal 8 高速開発 Murray Woodman(Co-Founder, Morpht)Colin Watson(Digital Producer, Morpht)


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オーストラリアのDrupal開発企業 Morpht社からは、Drupal 8のデザイン・画面開発コストを大幅に削減するソリューションのデモをしていただきました。
 
Drupalを使ってシンプルなキャンペーンサイトを開発する際、デザイン・画面開発に1週間〜10日かかることがあります。それには必ず技術者が対応しないといけない部分があり、そのことがDrupalの可能性を狭めていることもある、とMorpht社は考えています。
 
今回ご紹介したツールを使えば、コードが書けない人でもサイトを簡単に立ち上げることができ、時間やコストの削減につながる、というものでした。
 
これまでにもブロック単位でのデザイン再利用を図るためのモジュールはいくつかありましたが、Morphtのコンセプトはそれを超えたものでSkinという概念でページ単位、サイトのセクション単位でのまとまりを扱うことができます。コンテンツ編集と同じ感覚でページ全体のHTMLレベルの修正やCSSのエレメント操作が管理画面から行えるようになるというものでした。
 

ThinkIT 「Drupal 8スタートブック 作りながら学ぶWebサイト構築」出版秘話(鈴木 教之 株式会社インプレス Think IT編集部 編集長,  井上賢太郎 ANNAI株式会社) 


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日本で最初に発売されたDrupal 8本「Drupal 8 スタートブック」執筆時の様子についてお話がありました。

記事執筆から出版まで、タイムラグを極力排除したフローを確立されていました。技術系の本ならではの編集フローとして、著者チームと編集部のやりとりにGithubを使い、Commit・プルリクエストなどで執筆する文章を、コードと同じ扱にしました。また、Indesignなどの一般的な組版ソリューションを利用せずに、LaTexを使った製版処理など新しいことにチャレンジしたプロジェクトになりました。

 

Pantheonの紹介(Scott Massey CEO, Astrocolossal Consulting)


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Drupal専用PaaSサービスのPantheonの紹介でした。Drupalのインストールから開発・ステージング・本番へのフローを簡単にサポートしてくれます。
 
Pantheonは無期限無料のお試しが可能で、さまざまなDrupalディストリビューションを使ってみることが可能です。ThinkITでの本もこのPantheonの試してもらうことを前提に執筆しています。

 

懇親会には参加者の半分以上が参加


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その後会場内の別の場所に移動し懇親会を開催。参加者のうち半分以上の方々が参加される懇親会となり、たくさんの新しい交流が生まれました。私たちも今回のイベントを通じて、企業様同士が繋がってWeb活用を推進していくきっかけづくりをご提供できることはいいことだなぁ、と強く感じました。
 
次回もさらにイベントをレベルアップさせて、みなさまに価値を提供できるよう努力したいと思います。
 
ご参加のみなさま、イベントにご協力くださった全てのみなさま、大変ありがとうございました!今後ともどうぞ宜しくお願い致します。
 
Special Thanks To: 
 
株式会社ウフル 東京本社様(会場提供)
Think IT様(メディアスポンサー)
Web担当者Forum様(メディアスポンサー)
KDDI Web Communication様
CPI様
Microsoft様 
Pantheon様

7/7 Think ITさんにイベントの様子が掲載されました!詳しくはこちら

thinkit