世界のトップ 10,000 のウェブサイトの 14% を支える Drupal
Drupalは、オープンソースのコンテンツ管理システム(CMS)で、ウェブ開発スキルを持つ専門家やチームがノーコードのウェブサイトビルダーでは作成できない、より野心的なウェブサイトを構築するためのソフトウェアです。Drupal は現在、インターネット上のトップ 10,000 のウェブサイトの実に 14% 以上で利用されています。Drupal は急速なイノベーションを実現してきた実績を持つ強力な CMS で、熱心な開発者による大規模なコミュニティーに支えられています。
このポストでは「2022 年以降も Drupal が主要な CMS プラットフォームであり続けるかどうか」という疑問に答えたいと思います。もしあなたが Drupal を試してみようと思っているのなら、2022 年現在の Drupal の価値を知る上でこのポストは役に立つことと思います。さっそく見ていきましょう。
Drupal について
Drupal は無償かつオープンソースの CMS で、プロフェッショナルなウェブ開発チームを対象に、堅牢なウェブサイトや ウェブアプリケーションの構築を可能にします。
Drupal では、ブログ、個人または企業のウェブサイト、ポータル、フォーラム、eコマースサイト、イントラネット、ソーシャルネットワーキングサイト、ポートフォリオサイトなど、様々なタイプのウェブサイトを構築することが可能です。構築したいウェブサイトの種類に関係なく、Drupal はその実現に必要なツールを提供してくれます。
2022年、Drupal が有力な CMS プラットフォームのひとつに選ばれる理由
1. 巨大なコミュニティーの存在
オープンソースソフトウェアプラットフォームの重要な資産の 1 つは、そのコミュニティーです。Drupal には開発者の大きなコミュニティーがあり、このプラットフォームを使用する中で問題が発生した場合、簡単に解決法を見つけることができます。多くの個人や企業が Drupal をナンバーワンの CMS プラットフォームとして考えるのは、このようなコミュニティーのサポートがあるためです。
Drupal のコミュニティーには、多くの開発者、ソフトウェアエンジニア、その他様々な技術分野の専門家が参加しています。Drupal コミュニティーに関わる多くの開発者が、Drupal.org や Packagist (PHP パッケージリポジトリ)などのサードパーティベンダーから入手できる何千もの Drupal モジュールの開発に携わっています。
2. Drupal は多くのポピュラーなマーケティングツールに統合可能
マーケティングは、CMS プラットフォームを選択する際に考慮すべき重要な要素の 1 つです。Drupal でウェブサイトを構築する場合、あなたのウェブサイトの認知度向上と売上増加のために活用できるマーケティングツールを導入することができます。Drupal と併せて利用できる人気のマーケティングプラットフォームには、Mailchimp、HubSpot、Salesforce、Google Analytics、Crazy Egg、Social Auth Google を始め、多くのツールが存在します。
これらのプラットフォームを使うことで、E メールマーケティングキャンペーン、ソーシャルメディア広告、Google Ads の 作成と最適化がより簡単に行えます。また、これらのプラットフォームの多くは、マーケティングオートメーション機能を備えており、営業・マーケティングチームの生産性を大幅に向上させることができます。総合的に見て、Drupalで構築されたウェブサイトのマーケティング体験は業界トップクラスといえます。
3. APIによる高い拡張性
現在、ほぼすべてのウェブサイトは、機能とユーザー体験を向上させるために、いくつかのインテグレーションや API に依存しています。Cloud Elements の調査によると、回答者の 83% が API 統合をビジネス戦略の要と考えています。Drupalは、あなたのウェブサイトのパフォーマンスと UX に大きく貢献し得るいくつかの API をサポートしています。
以下は主要な Drupal の API の一例です:
- Render API:この API はプレゼンテーションロジックをビジネスロジックから切り離します。Render API には、ウェブサイト訪問者のユーザー体験を大幅に向上させるキャッシング機能があります。プレゼンテーション層は twig テンプレート言語を使用し、コンポーネント駆動設計を可能にします(例:Storybook や Tailwind CSS を使用)
- Translation API:この API は、Drupal のウェブサイトがウェブサイト閲覧者のロケーションに基づいて言語を設定することを可能にします
- JSON:API:Drupalをバックエンドとするデカップルドアーキテクチャにおいて、JSON によるシリアライズと通信を可能にします
- REST API:REST アーキテクチャスタンダードの制約に準拠し、RESTful なウェブサービスとのインタラクションを可能にします。Drupal が外部システムからデータを読み込んだり、外部システムにデータを書き込む必要がある場合に非常に便利です
Drupal の API については、この本で詳しく説明されています。
4. パーソナライズされたユーザー体験の提供を優先する
多くの顧客は、ユニークでパーソナライズされたユーザー体験を提供するウェブサイトを好む傾向にあります。Slideshare の調査では、パーソナライズされた体験を提供する会社は、80% 以上の利用者に対して購入の可能性を高めているという結果が出ています。Drupal は、パーソナライズされた体験を提供する上で必要なツールの全てをウェブデザイナーや開発者に与えてくれます。
5. カスタマイズ
CMS を選択する際に多くのユーザーが考慮するもう一つの重要な要素は、カスタマイズする上での柔軟性です。WordPress や Joomla を含む他の CMS プラットフォームと比較して、Drupal は開発者による自由な変更を可能にします。開発者は、Drupal のモジュールの振る舞いを変更することができ、またコアが提供する機能によりカスタムコンテンツタイプを作成したり、コンテンツタクソノミーを利用することができます。
6. Drupalのウェブサイトはスケーラブル
スケーラビリティーは、いくつかの企業や専門家が多々ある CMS プラットフォームの中から Drupal を選ぶ主な理由の 1 つです。この時代にウェブサイトやアプリケーションを構築する企業は、将来的に何百万人ものユーザーを処理する必要が生じる可能性について真剣に検討しておく必要があります。スケーラビリティーは Drupal が優れている点の 1 つです。
柔軟な API 構造により、Drupal により構築されたウェブサイトやアプリは、サイト上での個々のユーザーの体験に影響を与えることなく、リアルタイムで無数のデータコンテンツを効率的に管理することができます。
おわりに
Drupalは、ウェブプロジェクトに利用される CMS プラットフォームの有力候補です。Drupal が 2022 年においても競合する他の CMS をリードし続けるのは、その柔軟なカスタマイズ性、スケーラビリティー、堅牢なパーソナライズツール、そしてそれを支える巨大なコミュニティーにあります。
あなたがもし開発者またはビジネスオーナーとして信頼できる CMS プラットフォームを探しているなら、Drupal は最も信頼できる選択肢の 1 つとなるでしょう。
関連コンテンツ
- Drupalが提供する高度なコンテンツ構造と管理方法
- 柔軟で堅牢なオープンソースCMS: Drupalの特長と利点
- Drupalcon Lille 2023: パート 2
- Drupalcon Lille 2023: パート 1
- 第 16 回 Drupal をもっと知りたい方に向けた各種情報
- 第 13 回 Drupal の権限設定と WordPress や Movable Type との比較
- 第 11 回 Drupal と他の CMS のクエリビルダー機能を比較
- 第 10 回 Drupal の標準クエリビルダー Views の使い方
- 第 9 回 Drupal のブロックシステム
- 第 7 回 Drupal のボキャブラリとタクソノミーの使い方
Drupal 初心者講座バックナンバー
- Drupal 9/10 初心者講座
- 第 1 回 歴史に見る Drupal の DNA
- 第 2 回 Drupal はフレームワークか?CMS か?他の CMS との比較
- 第 3 回 Drupal の特徴
- 第 4 回 Drupal 9 / 10 のインストール (1)
- 第 5 回 Drupal 9 / 10 のインストール (2)
- 第 6 回 Drupal にコンテンツを投稿してみる
- 第 7 回 Drupal のボキャブラリとタクソノミーの使い方
- 第 8 回 コンテンツ管理における Drupal と他の CMS との比較
- 第 9 回 Drupal のブロックシステム
- 第 10 回 Drupal の標準クエリビルダー Views の使い方
- 第 11 回 Drupal と他の CMS のクエリビルダー機能を比較
- 第 12 回 Drupal の多言語機能と他の CMS やサービスとの比較
- 第 13 回 Drupal の権限設定と WordPress や Movable Type との比較
- 第 14 回 Drupal のテーマシステムについて
- 第 15 回 Drupal の拡張モジュールの選定と使い方
- 第 16 回 Drupal をもっと知りたい方に向けた各種情報