ANNAIマガジン
「アジャイルは死んだ」マーケティングがあなたの言葉を信じる時
この記事は「 “Agile is dead”: When marketing takes your words 」の翻訳です。
この記事の目次

マーケティングやセールスチームが開発者が行うことに加わるとどうなるか

テクノロジー会社で働くのはエキサイティングです。世界の何かを本当に変えていると感じられるのはすごくパワフルなことです。テクノロジー業界は、技術に明るい人とそうでない人のコラボレーションに依存しています。システムを作る際にスペシャリストがいる限り、アイデアやベストプラクティスはトレードオフにされてきました。しかし、開発者が使う(明確で、正確で、技術的な)言葉が関係者に独自に理解されてしまえば、フラストレーションの温床になり、不理解につながり、たまに滑稽に見えることもあります。

アジャイル方式でいく

アジャイル方式というのは開発者から出てきたアイデアです。(アジャイルが死亡したとされていることと開発チームに何があるのかについては、以下を参照してください)ソフトウェア以外のものを提供する非開発チームにアジャイルの方法論が成功し、生産性を高めてきたと信じられていますが、飛躍して考えることもできます。

例えば、私は過去5年にわたってデジタル政府に関するカンファレンスにたくさん行ってきました。地方の審議会から中央政府に至るまで、「アジャイル方式を採用したい」もしくは「アジャイル方式でプロジェクトを進めている」と関係者に伝えています。
私の周りにいるたくさんのIT企業や同僚は、政府関係者によるアジャイルに対する認識に少しフラストレーションを感じています。仕事(特定の成果物、優先順位、期限など)をバックログに置くことは、アジャイル思考を意味していません。オンラインのフォームに機能要望を追加することだけではアジャイルを意味しません。小説ほどの長い要望書を叶えるためにスタッフをアサインし、決まった予算内で納期を達成するべく働くのは全くアジャイル方式ではありません。たとえあなたがスプリント内でそれを納品して欲しいと思っていてもです。

でも少なくとも私たちはアジャイル方式でやっています!

agile

言葉は伝染しやすい

開発者の知り合いが言っていたのは、マーケティングでそう言った言葉が利用されるようになると、それでおしまい、ということです。言葉がバズワードになると、私も同じように感じる時があります。ソフトウエア開発会社やテクノロジー会社に努める非開発者は、もっと開発者と関わるべきです。言葉は伝染しやすいものです。それはマーケティング担当者が、技術者と協力して技術に関する話を伝える時もそうです。その後、営業担当者や他の人がおかしなことを言っているのを耳にする時があると思います。文脈とは違うところでそう言った言葉が使われているのを耳にした時びっくりしましたし、他の同僚のことを笑ってしまいました。

そのファイルをpingしてもらえますか?
違います!pingというのは他のコンピューターに対して通信している状況か確認するためのものです。チャットで「今繋がってる?」とフレンドリーに聞く時に使いましょう。他の人がpingした時に正しい答えとしてはpongです。

マーケティングハッカソンをやります
何をハックするんでしょうか?超過勤務のことですか?

早く失敗して早く拡大しよう
そうかもしれないですが…オープンソースのDrupalの世界では、「早く失敗してうまく失敗しよう」ということにトライしてきました。しかし、テクノロジー業界で言われてきた「成功するための失敗」的な議論のことを私は少し変だと思っています。

我々はブロックチェーン技術を活用しないといけない。そしたらUberみたいになることなく自社のビジネスをUber化できる
カンファレンスにてまさにこの耳でこんな話を聞いたことを誓います。そのキーノートスピーカーの方は「自分の安全地帯を外れることを心地よく思う」という主義だそうです。だから、この件でもどういうことを言いたいかわかりますよね?

真似することが最も誠実なお世辞になる

技術用語や技術そのものが他の人々に受け入れられるようになったら、それは良くないことなのでしょうか?腹立たしく感じる流用なのか、健全な進化、どちらでしょうか?純粋な人が何を言っても求めても、言葉というのは進化していきます。アイデアも進化し、人間はあらゆることにおいて優れているし、効率的です。なぜなら私たちはアイデアを他の人と共有し、行ったり来たりしているからです。(自由でオープンなソフトウエアに乾杯!)

例えば:
ウォーターフォール方式は、物理世界モデルからインスパイアされたものである点:ウォーターフォール開発方式は製造業や建設業で用いられてきたものです。もし不可能でなければ事実上の変更が非常にコストがかかるもので、建築物や製造物というのは高度に構造化された物理的な物体です。まだソフトウエアの開発手法というものが存在しなかった頃から作られた手法なので、ハードウエア中心の考え方がソフトウエアにも適用されたということになります。(Wikipedia)

UXの世界では、方法論は科学から拝借している:
私は「The Web Psychologist」の著者であるNathalie Nahaiさんの大ファンです。彼女は素晴らしいスピーカーであり、ウェブの世界を考える人だと思います。彼女は2011にウェブ心理学という言葉を作り、彼女の研究はユーザーの行動に心理学的なアプローチを行うことで、より良い、人を惹きつけるユーザー体験を作るのに役立っています。Carola LilienthalさんはLong-Lasting Software Architecturesという本を出版し、人間の認知に関する医学的/科学的理解を適用して、開発者を教育してきました。

たくさんのビジネス戦略は、歴史的にずっと軍隊の方法論を用いてきました。そしてこれが、「business strategy」という検索結果でトップに出てきているページです。なぜビジネスリーダーはSun Tzuによる昔の軍隊ガイド「The Art of War」の虜になるのか。

そして、アジャイル方式によるビジネスプロセスはソフトウエア開発からインスパイアされたものです。それがもし良い方法論で(言い換えると、良い結果を出せるもので)、エンジニアに賛同し、単にメソッド内での作業が反復を中心に回転するという意味であることが理解されているのであれば、開発はうまくいっている、ということになります。それを称賛として受け取りましょう!

ということで、アジャイルは死んだのでしょうか?

そういう事実はない、と取り消さないといけません。いや、本当は死んだのかもしれないです。(Agile is deadの検索結果が2016年にたくさんのトラフィックを獲得していたとしても)
Wikipediaに書いているアジャイル方式のソフト開発を言い換えると(またの名をアジャイル、2001年に生まれた言い方で、過去数十年によって行われてきた方法論)、アジャイルは、柔軟な方法でソフトウェアを通じて価値を計画し、提供し、時間の経過と共に継続的な改善を可能にする一連の適応原則と実践方法のことです。

人々はこの10年の間にアジャイルのことを拡大解釈し、永遠に続く最も大切なアイディアだと誇張して考えているのかもしれません。ソフトウエア開発においてアジャイルはもはやクールなものではないかもしれず、DevOpsのような新しいジャンルで行ったほうが良いのかもしれないです。但し継続的に連携して進んでいく開発スタイルは全てアジャイルであり、同じゴールには向かっていると考えます。

アジャイルについてもう少し詳しく説明すると:
アジャイルソフトウェア開発では、価値を短期間で繰り返し提供し、プロジェクトの成長と発展に伴って提供しているものを適応させることができます。詳しく学びたいからはこちらのリンクをどうぞ。

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終わりに

いかがでしたか?
人々にとってインパクトのある考え方や方法論は広がり方も早いですが、間違った解釈をされるケースもあります。特に開発現場において柔軟性を失った進め方をすると、本来求めていたものとは違ったものが出来上がったりするので、どの方法論を選ぶかは慎重に決めていきたいものです。

 
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この記事を書いた人: Kentaro Inoue

ANNAI株式会社
マーケティングマネージャー
サービスの設計・企画、マーケティング、採用戦略の立案などを担当。普段は新潟で猫と一緒に、時々海外からリモートで働いています。好きなモジュールはRulesとFlagです。

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