2018/3/8に Drupal 8.5.0がリリースされました。8.4.0のリリースが2017/10/4だったため、約5ヶ月ぶりのマイナーアップデートになります。このリリースの主な変更点や、新たにExperimentalとして追加されたモジュールなどの情報をご紹介していきます。詳細なリリースノートは以下を参照してください。
https://www.drupal.org/project/drupal/releases/8.5.0
Mediaモジュールが改善され、すべてのサイト構築者が利用可能に
Drupal 8.4から、ファイルや画像といったアセットをページとは独立して管理するMediaモジュールがコアに含まれるようになりました。しかし、管理U上では隠されており、開発者以外が簡単に利用できる状況ではありませんでした。Drupal 8.5では管理UI上から機能を有効にし、誰でもすぐに利用できるようになっています。
Setting TrayとContent Moderationモジュールが安定版に
Drupal 8でページを公開する前に承認などのワークフローを実現するためには、Coreに含まれるWorkFlowsとContent Moderationの2つのモジュールを有効にする必要があります。WorkFlowsについては8.4.0で安定版になっていましたが、Content ModerationはまだExperimentalの扱いでした。8.5.0で承認ワークフローに必要な全てのモジュールが安定版になったため、セキュリティ要件が厳しいサイトでも導入ができるようになりました。
複数の言語で承認ワークフローの同時進行が可能に
リリースノートには、「Drupal 8.5.0 also adds support for translations to be moderated independently.」とあっさり目に書いてあるのですが、多言語サイトを運用する上で非常に重要なアップデートですのでご紹介します。
Drupal 8.4まではコンテンツを多言語で翻訳している場合、いずれかの言語のコンテンツを更新しワークフローを進めた場合、その修正が公開されるまで別の言語ではワークフローが進められない、という制約がありました (この制約は全体ではなくノード単位の制約です)。
日英2カ国語程度であればほとんど問題になることはありませんが、多数の言語に翻訳されコンテンツの更新も活発な大規模なサイトでは、これは運用上大きな問題となります。ちなみに、ANNAIで開発したサイトには25カ国語(!)という超巨大なものもあります。
Drupal 8.5からはこの制約がなくなったため、より安心して大規模なサイトやシステムで利用できるようになります。
ExperimentalモジュールとしてLayout Builderが追加
ブロックレイアウトの仕組みで目的のレイアウトが実現できない場合、テンプレートを直接編集したり、PanelsやDisplay Suiteなどのcontributeモジュールを導入されている方は多いと思います。Drupal 8.5からコアの機能としてLayout Builderが実験的に追加されました。Drupal 9の頃には、PanelsやDisplay Suiteが不要な世界になっているかもしれません。
マイグレーション機能の大きな改善
Drupal 8には、他のサイトからのデータを移行するためのマイグレーション機能がcoreのモジュールとして提供されています。8.5から増分マイグレーション (incremental migration) 機能が追加されました。これにより、既存のDrupal 6/7/8のサイトにコンテンツを追加して運用しつつ、徐々にDrupal 8へのデータの移行が可能になります。
詳しくは以下のリンクを参照してください。
https://www.drupal.org/blog/big-steps-for-migrations-in-drupal-850
BigPipeがデフォルトで有効に
Facebookで開発されているキャッシュ機構のBigPipeがデフォルトで有効になるようになりました。これによって、特に何も設定しなくてもデフォルトで高速な状態でサイトが立ち上がるようになります。ただし、Themingの際に気をつけるポイントもありますので注意も必要です。
初めてのDRUPAL THEMING (こざる舎: 小寺 順子さんのスライド)
Out of the Boxデモの追加
Drupalには標準でいくつかのテーマが含まれていますが、よく目にするのはGarlandやBartikと呼ばれるいわゆる「青い画面」ではないでしょうか。
かなりそっけないデザインなので、これを見て途方にくれる人がいるとかいないとか。。
そんな私達の悲痛な叫びが届いたのか(笑)、Drupal 8.5から「umami」(旨味)と呼ばれるデモ用のプロファイル(インストーラー)が同梱されるようになりました。このデモの中を見ることで、Drupalで何ができるのか、どのように作ればいいのかなど、理解を深めることができそうですね。
デフォルトではGUIのインストーラーでは表示されないので、1行修正する必要があります。CLIでインストールする方はそのままでOKです。
Drupal 8.5に入っているumamiのデモはまだhiddenになっているので、
— Yoshikazu Aoyama (@blauerberg) 2018年3月10日
CLIからは"drush site-install demo_umamai ..."、GUIのインストーラーから入れる場合は core/profiles/demo_umami/demo_umami.info.ymlの6行目にある「hidden: true」を削除すると選択肢に出てくるようになります。#drupalsappor pic.twitter.com/17DTluTLJc
PHP 7.2をサポート
パフォーマンスやセキュリティの面から、なるべく新しいバージョンを使うことをオススメします。なお、1年後の2019年3月にはPHP 7以上が必須になる予定ですので、余裕を持ってPHPのアップデートをしておきましょう。
まとめ
前回のDrupal 8.4に引き続き、極力後方互換性は維持しつつ様々な新機能の追加や安定性の向上がされています。
今後のバージョンアップも楽しみですね!
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