
Drupalで世界展開:多言語サイトでビジネスチャンスをつかもう
バベルの塔はかなり前に崩壊したかもしれませんが、人類は様々な言語を再構築しようとしています。しかし今回はシリコン製のブロックの上で構築されようとしています。インターネットは世界を一つにし、物事の境界線を壊し、人類文明を活気のあるグローバルなコミュニティにしようとしています。しかしその塔はまだ完成していません。インターネットを通じてこれまでになく世界と繋がりやすくなりましたが、グローバルコミュニティで壁を乗り越え、我々をつなぐユニバーサルな言語はまだありません。
実際に、インターネットは人々を繋げるより良い方法を作ることに加えて、PHP、SQL、Javaなどのプログラミング言語が発明されたことにより人々を混乱、分離する手法も作ってしまいました。
しかし、残念ながら我々の壁を無くすユニバーサルな言語は現実的には生まれそうにありません。つまり、世界の向こう側に住んでいる人々を繋げることによってウェブサイトの潜在能力を高めるためにあなたがすべきことは、多言語サイトを持つことです。
Drupalで作られた国連パレスチナ難民救済事業機関サイトの例を見てみましょう。ターゲットに広くリーチするために英語とアラブ語でコンテンツを発信しています。同組織や他の組織がなぜ多言語サイトを運営しているのかを紹介します。
1:インターネットは英語スピーカーだけに使われているわけではない
インターネットは英語圏で発明、開発、ビジネス化されたものです。その後インターネットは世界中の人々のためのものになり、英語圏以外の小さなマーケットですらインターネット利用のためのデバイスが浸透しています。ネット利用そのものは英語圏の方が多いかもしれませんが、利用層はどこの国も同じような分布で広がっています。企業や組織はその動向に注目しておいた方がいいでしょう。
2:多言語サイトは費用対効果の良いマーケティング、ブランディングツール
消費者やサイトユーザーと多言語でやり取りすることを楽しむ能力があるということは、あなたのブランド、サービス、製品がこれまで参入できなかった市場に参入できることを意味します。なぜかというと、単純にあらゆる消費者はあなたのサイトにアクセスでき、あなたが何をしているのかを知ることができるからです。理論上ウェブサイトに追加された新しい言語のコンテンツは、サイトの訪問者や売上を倍にしてくれる可能性もあります。なぜならその言語のコンテンツは全く新しいユーザーを開拓することに繋がるからです。
3:信頼獲得のため、文化の違いを埋めるため
製品を購入することやネット上の情報に頼ることに関していうと、利用者はウェブサイトのことを信用する必要があります。自分が親しみのある言語で運営されるサイトでないと信用しないかもしれません。
少なくともeコマースの視点では、多言語サイトを持つことは消費者にとって心地よいことになり、購入を促すことにもつながります。これから(自社にとって)成長する市場でウェブベースのビジネスが発展するということになります。またニュースやメディアサイトの視点では、消費者が理解する言語でコンテンツを提供することは、信頼できるソースとして受け入れてもらうためには必要不可欠なことです。
多言語サイトがちゃんとデザインされれば、自動的にユーザーを「(自分にとって)心地よい空間」に連れて行くことが可能になり、ウェブサイトを理解し、親しんでもらうことが可能になります。
4:Google以外のサーチエンジンに対応するため
人によってはこの情報はショッキングかもしれませんが、中国、日本、ロシアなど他の多くの国では、Googleはメインのサーチエンジンではありません。(日本のネットサービス利用調査についてはこちらをご覧ください)その代わり、Baiduのように、自国で成長したローカル企業がサーチエンジンのトップシェアになっています。さらにいうと、全てのサーチエンジンが英語サイトをインデックスするわけではないのです。つまり、国によってはあなたのサイトが検索結果にすら出てこないということです。新市場の扉を開きたい場合、多言語サイトが必要です。
加えて、Googleのような巨大なサーチエンジンは外国語でも検索を表示し始めていて、多言語化を進めていますので、あなたもその流れに乗るべきです。
しかし、多言語サイトを持つことは簡単なことではありません。間違った形で実装されるとウェブ上での存在感に傷がつきます。
多言語環境でも存在感を維持したウェブサイトを作ることに関していうと、以下のようなCMSが必要になります。
- たくさんのコンテンツを扱うことができるもの(複数のターゲットユーザーに同じコンテンツを何度も翻訳する必要があるため)
- 開発者の間でグローバルなサポートを受けられるもの
- 多言語サーチエンジンに適したSEO対策を行えるもの
- 特定の言語でマイクロサイトを立ち上げやすいもの
オープンソースのCMSでも商用のものでもグローバルサポートや多言語サポートパッケージを提供していますが、顧客にグローバルにリーチするようサイトを適合させて行くことは簡単ではないです。目標をを達成するために強力なCMSが必要です。それに応えるのがDrupalだと思います。
Drupalはソフトウエア自体がパワフルなのと、コミュニティから多言語サイトのデザイン・開発・実装・保守をするために必要なサポートが手厚く、エコシステムとしてバランスが取れています。多言語対応という意味ではこれほどの対応力のあるCMSはほとんどないと思います。最新バージョンのDrupal 8では多言語対応機能がメイン機能として適用されると公式に発表されています。
グローバル化に伴って、世界中には経験豊富なDrupal開発会社がたくさんありますので、一緒に仕事もしやすいと思います。インターネット世界は拡大と進化を続けています。しかし、グローバル市場がインターネット世界で融合したり出会ったりすると、言語の違いに直面します。そしてサイトが多言語対応していない場合は、新しい市場に自社が適用しないことを意味します。
終わりに
いかがでしたか?元記事は中東の貴社のものですが、英語→他言語の対応が必要であるように、他言語→英語が求められるケースもたくさんあると思います。日本の企業は海外対応という意味ではたくさん言葉の壁に悩んでいる方も多いと思いますので、多言語サイトを運営しやすいDrupalでの開発も検討してみてください。
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Drupal初心者講座について
第1回 歴史に見るDrupal のDNA
第2回 Drupalはフレームワークか?CMSか?
第3回 Drupalの特徴
第4回 Drupal 8のインストール(1)
第5回 Drupal 8のインストール(2)
第6回 コンテンツを投稿してみる
第7回 ボキャブラリとタクソノミーを使う
第8回 コンテンツ管理におけるDrupalと他のCMSとの比較
第9回 Drupal 8のブロックシステム
第10回 Drupalの標準クエリービルダ Views
第11回 Drupalと他のCMSのクエリビルダー機能を比較
第12回 Drupal 8の多言語機能と他のCMSやサービスとの比較
第13回 Drupalの権限設定とWordPressやMovable Typeとの比較
第14回 Drupalのテーマシステムについて
第15回 Drupalの拡張モジュールの選定と利用方法
第16回 Drupalをもっと知りたい方に向けた各種情報