Drupal 8 海外事例:Youth4Peace for the United Nations
過去数十年にわたり、青少年が暴力行為に関わったり、過激派グループに加わることが、世界の安全や安定に対する脅威と捉えられるようになってきました。
しかし、研究ではそういった活動に積極的に参加する青少年は少数派と考えられており、(矛盾した状況の中不当な行為、貧困や虐待などには日々直面しているにも関わらず)大多数の若者は暴力的ではないし、そういった活動にも参加しないと思われていました。
そんな中、2015年12月9日に「若者の平和と安全に関する国連安保理決議」が採択されたのは画期的なことで、青少年が国際社会の安全と平和を維持するために前向きな役割を担っていることが認知されるようになりました。
若者の問題に関する世界的なタスクフォースであるこのようなプログラムや、青少年育成プログラムに関するワーキンググループ、国連の育成プログラムは”Youth4Peace”という活動の中でいろんな活動を主催、コーディネート、ファシリテートしています。
その中でこのサイトは、青少年の平和維持活動に関する知識や情報をユーザーや関係者にタイムリーに提供したり、若者の平和維持活動を高めたり、サポートしたいと思う方のためのバーチャルな交流の場として機能しています。
なぜDrupalが選ばれたのか
元々クライアント様はDrupalのことをよく知っていました。その他の国連関係のサイトは、ソーシャル機能もついたものになっていて、その多くはDrupalで開発されていました。オープンソースのソフトであることが主な理由の一つです。オープンソースなので、Drupalで開発を行うとモジュールやコードを再利用できるからです。
また、Drupal 8には、コミュニティ機能を持ったディストリビューションであるOpen Socialがあったからです。Open Socialはこのプロジェクトのゴールを達成できる機能がありました。革新的で、最新の技術を使用しており、サポート体制もあって、長期的に利用しても問題ありませんでした。
ブログ、イベント、プロフィール、情報タイムライン、ディスカッション機能、コミュニティマネージャー専用のモデレーション機能など、このプロジェクトに必要な機能の多くがすでに備わっていました。
プロジェクトについて(ゴール、要望、成果)
プロジェクトはアジャイル方式で開発が進みました。クライアント様の興味や興味のある部分にフォーカスして開発を進めるために、この手法を採用しました。結果、この手法がサイトの将来の開発の方向性を決めることにもつながりました。
第1フェーズの開発期間は2ヶ月ととても短く、プロジェクトの成功のためには、Open Socialを基礎として開発を進めることが極めて重要でした。第1フェーズでは、以下のような部分にフォーカスして開発を進めました。
- キュレーションされたナレッジライブラリ
- ディスカッション機能
- エキスパートのプロフィール
- フィルター機能付きのニュース、イベント、概要情報ページ
コミュニティマネージャーは、作成したコンテンツが外部向けなのか、内部向けなのかを決定することができます。(ログインしない)一般ユーザーのためのコンテンツが作れることによって、世界的プラットフォームであるこのサイトのリーチはとても大きいです。公開されたコンテンツはSEO対策された状態で公開されるので、そのほかのソーシャルネットワークでもシェアしやすくなっています。
第1フェーズでのこのプロジェクトのゴールは、まずはコミュニティを作り、このプラットフォームに参加している人々から学び、知識を共有することでした。次のフェーズの目的は以下の通りです。
- 多言語化したUIとコンテンツ
- オンラインセミナー機能
- 青少年のためのオンライン弁護士サービス
終わりに
いかがでしたか?Drupalにソーシャル機能を加えたい場合でも、開発者コミュニティより配布されるディストリビューションを活用することにより、素早くサイト開発を行っていくことができます。
世界中のDrupal開発者が無償で提供する様々なリソース活用することで、より柔軟にプロジェクトを進めていくことができます。ぜひ参考にしていただければと思います。そのあたりを「Drupalの優れた拡張性」にて詳しく解説していますので、よろしければご覧ください。
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