「分散型コンテンツ管理」とは何か?
もし、あなたがDrupalでの開発経験が豊富な人達のグループ内で「Drupalは分散型コンテンツ管理に向いている?」と質問したなら、おそらくほとんどの人がYESと答えると思います。次に同じ人達に、「分散型コンテンツ管理とはなんですか?」と質問したらどうでしょうか。たぶん、明確な答えは返ってこないと思います。なぜ、この様な素晴らしい概念が曖昧なものになってしまうのでしょうか?
分散型コンテンツ管理を理解する事は、大量のウェブサイト管理している組織においては非常に重要な事です。大きな大学において大量のサイト間でコンテンツを作成、公開する時の事を考えてみてください。これには、小さな研究室や個々のカレッジから、大学の本体サイトまでも含まれます。
もちろん、多国籍製薬メーカーのサイトにおいては、何重にわたるコンテンツのレビューや承認が求められます。そして、世界中に向けて配信されている数百のサイトにおける一貫した管理が求められます。
この記事は今後、数回にわたって連載予定の「分散型コンテンツ管理」に関する議論の最初の記事となります。
昨今のモダンなデジタルエクスペリエンスを提供、管理するためにDrupalを利用している組織において、分散型コンテンツ管理がいかに中心的な戦略になり得るのかを議論していきたいと思います。
なぜ「分散型コンテンツ管理」という言葉を定義する事は難しいのか?
「分散型コンテンツ管理」を定義する事はなかなか難しい事です。Googleで検索をしてみると、人々が2000年代初頭から活発に議論しているのが見受けられます。彼らはずっと同じことについて話し合ってきたわけではありません。議論の変遷については、検索結果を時系列に追っていくと分かります。
結局のところ、2003年からずっと続いているにも関わらず、この不毛な議論は有意義なものなのでしょうか?信じる、信じないは別として、この不毛な議論の原因は単純に文法的な曖昧さにあります。簡単にいえば、「分散型コンテンツ管理」について話し合うとき、ある人達は「分散したコンテンツの管理」について話しているのに対し、他の人は「コンテンツの分散管理」について話しているからです。幸いに「分散したコンテンツの管理」と「コンテンツの分散管理」という二つの概念を定義する事は簡単です。
「コンテンツの分散管理」とは
しばしば、「コンテンツの分散管理」は「分権的コンテンツ管理」や「分権的コンテンツ配信」とも呼ばれます。「コンテンツの分散管理」はコンテンツ管理の権限を組織全体に分散して持たせる考え方を言います。大抵は、権限を与える側の支配的な意図を含みます。場合によっては、ウェブ技術の知識を持たない一般ユーザーでも簡単にコンテンツを編集できるツールを導入して、ウェブエンジニアやウェブ管理者の手を借りずにコンテンツを編集できる状況を示す事もあります。
他には、マーケティング部門や広報部門を通さずに、各部署にコンテンツ作成に関わる専門家を直接配置する事でコンテンツの質と量の向上に重点的に取り組む事を言います。
「分散したコンテンツの管理」とは
一方、「分散したコンテンツの管理」とは、さまざまなソースに存在しているコンテンツを管理する事を示します。他のサイトによると、これはインプット(自分のサイトに公開されている、他のサイトもしくは、外部システムからのデータ)とアウトプット(自分のサイトからコピー、もしくは、他のシステムへプッシュされたコンテンツ)、もしくはこれらの両方を含みます。
最初に説明した「コンテンツの分散管理」という概念と違い、「分散したコンテンツの管理」の目指すものは、一般的に効率性や統制を図る事です。いくつかのマネージメントプロセスを導入する事で、組織はユーザーが複数の場所にコンテンツを掲載する際にかかる時間の節約や、ミスを防ぐ事ができます。
「分散型コンテンツ管理」の統一理論
二つのコンセプトが明らかになってきました、次に来る質問は明らかです。私たちは両方について考えなければならないのでしょうか?答えは、まさにその通りです。成功している組織では実際にそうしています。
「コンテンツの分散管理」
掲載ワークフローやコンテンツのガバナンスであり、組織のコンテンツ戦略の核となる要素です。
「分散したコンテンツの管理」
ウェブサイトへの外部システムからの実装か、サイト外へシェアするためのコンテンツの最適化なのかに関わらず、これは組織のデジタル戦略上の基本的な検討事項です。
この記事の最初に提示した、高等教育における例に話を戻します、「分散型コンテンツ管理」の利点は明白です。
研究者が重要なコンテンツを自らの手で、自らの研究室のサイトで掲載で配信できます。また、大学の運営側としては、自分たちの学部へ来る可能性のある学生に対して、説得力のある話題を提供する事ができます。
しかし、大学側が学内の全てのサイトに掲載されているポリシーを変えるときに何が起こるでしょうか?
分散したコンテンツを管理する適切な術を持っていれば、150人のコンテンツ管理者を動員して、コピーアンドペーストで全サイトのポリシーを書き換えるより遥かに効率的でしょう。
私たちが手掛けた、多国籍製薬メーカーではどうでしょうか?全てのブランドのサイトに統制されたコンテンツを自動的に配信するワークフローはとても効率的です、しかしこれは組織全体規模としての解決策に過ぎません。
これらのブランドの多くは、彼ら独自のデジタル戦術に特化したチームを持っているでしょう。その部署に応じた適切なツールを用いて、サイトのコンテンツを管理する事が必要不可欠です。
「分散型コンテンツ管理」という概念は、これらの検討事項の、ある一つの側面だけに限定されるべきではありません。コンテンツ戦略やデジタル戦略と同様に、本当に有益であるかを包括的に考慮しなければなりません。
昨今のデジタル業界において、「分散型コンテンツ管理」という言葉の統一感なく、曖昧に使われ続けています。
しかし、これ以上これを続けるべきではありません。この思いを込めて、私は「分散型コンテンツ管理」という言葉の意味を以下の通りに定義したいと思います。
「分散型コンテンツ管理」とは複数のソースやシステムからのデジタルコンテンツを統制するのに利用される、
プロセスやテクノロジーの事を指します。
これは、多くの検討事項や戦略を包括し、様々な事例に適応可能です。そして、これは組織のデジタルエクスペリエンスの基本要素となります。
次回は?
言葉の定義もはっきりした事ですし、次回は「分散型コンテンツ管理」のさまざまな側面を掘り下げていこうと思います。
すでに、いくつかの成功事例を用意してあります。今後の記事ではこれらについて議論していくのと同様に、「分散型コンテンツ管理」にデジタル戦略として取り組んでいる企業の必要条件について議論していきたいと思います。
最後には、私達がお勧めする、Drupalによる「分散型コンテンツ管理」の事例をいくつかご紹介したいと思います。
続きはこちら「高等教育の現場における分散型コンテンツ管理の事例」
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