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この記事は「 Acquia, the Open Source Digital Experience Platform 」の翻訳です。
この記事の目次

「オープンソース」という概念は 70 年代後半から存在しており、ソフトウェアの開発方法を大きく変化させました。オープンソースという概念が確立される以前は、ソフトウェアは常に組織内で開発されていました。オープンソースが登場して以来、我々はオープンソースが広く普及し、開発者にとって人気の高い選択肢となっていることに注目してきました。今日では、オープンソースのソフトウェアソリューションは、開発だけでなく、デジタルマーケティングの分野にも進出してきました。

デジタル・エクスペリエンス・プラットフォーム(DXP)を探し求めている組織は、プラットフォームを比較検討する際に、オープンソースのメリットに着目することができます。例えばアクイアは、マーケティングオートメーション、パーソナライゼーション、A/B テスト、顧客データ管理、サイトホスティングなどをサポートするエンタープライズ向けデジタルマーケティングツールを提供しており、これらはすべて、オープンソースの代表的なコンテンツ管理システムである Drupal との連携に最適化されています。

プロプライエタリー・ソフトウェアとオープンソース・ソフトウェアの比較

過去を振り返ると、オープンソースという概念が確立された当時、プロプライエタリーなソフトウェアを支持する人々とオープンソースソフトウェアを支持する人々の間には、顕著な緊張関係がありました。オラクルやマイクロソフトなどの大企業は、オープンソースが自社のプロプライエタリーな知的財産を脅かすものであり、大局的には自社のビジネスモデルをも脅かすものであると考えていました。

オープンソースの開発を支援するために、フリーソフトウェア財団(FSF)が設立されました。FSF は、コンピュータソフトウェアの研究・配布・作成・変更の普遍的な自由を推進しています。

オープンソースが主流になったのは、90 年代に入ってからです。この頃、オープンソースに貢献する開発者の数が驚くほど増え、「コピーレフト」という概念が確立されました。これは、プログラムに著作権を認め、配布条件を変更することなく、誰もがプログラムのコードを使用、再配布、修正する法的権利を認めるというものです。コピーレフトの概念は、ソースコードの自由な使用を法的に可能にしました。

現在ではオープンソース開発は最も一般的な手法であり、我々のチームが今日展開している最も安定したソフトウェアソリューションの多くを担っています。業界大手からの莫大な投資により、現在の IT 業界ではオープンソースの継続的な発展と採用が可能になっています。

DXP をオープンソースで

オープンソースは、政府機関や高等教育機関での普及が進んでいるほか、大企業においても急速に普及しており、世界中のウェブサイトの約 1/40 は Drupal で運用されています。その柔軟性と拡張性などの利点を考慮して、最近では RFP にオープンソースを記載する企業が増えています。オープンソースが先進的なテクノロジーとして世界的に認められつつある今、その採用のきっかけとなった特徴を以下にご紹介します。

より速いイノベーションはオープンソースから

組織のアジャイルさは、その組織のテクノロジースタックのアジャイルさにより決定されます。そのためオープンソースを使用しているだけで、その組織はすでに大きなアドバンテージを持っていると言えます。プロプライエタリーな企業は、オープンソースコミュニティーで起きるイノベーションのペースに追いつくことができません。多くのコミュニティーでは、オープンソース開発者のグローバルな人材プールの恩恵を受けており、彼らは常にコードベースの維持・改善に取り組んでいます。

開発者のコミュニティーに支えられていることに加えて、アクイアはパートナーと協力して、プロジェクトをより高次のイノベーションに導くことに注力することで、競合他社との差別化を図ることができます。パートナーは、アクイアと Drupal の技術を使って、カスタマイズされたデジタル・エクスペリエンスを構築することができます。オープンソース、クラウド、そしてアクイアの API ファーストのアプローチによって、イノベーションの可能性は無限に広がります。

オープンソースはセキュリティーに目を光らせる

パデュー大学の調査によると、オープンソースのコミュニティーは、セキュリティーの脆弱性やリスクに目を光らせており、プロプライエタリーなソフトウェアに比べてパッチの発行も早いとのことです。誰もがソースコードを確認できるため、開発者はプロプライエタリーなソフトウェアよりも早くセキュリティー問題を発見し、対処することができるとしばしば感じています。逆に、プロプライエタリーなソフトウェアでは、コードのバグや脆弱性への対処をサードパーティのベンダーや開発者に頼らなければならないため、問題の発見と修正にかかる時間が長くなることがあります。

最後に、オープンソースはコミュニティーによって支えられています。コミュニティーでは、ソースコードを改善するためのモチベーションを持った多様な開発者が、損得抜きでピアレビューを行います。Drupal のコミュニティーだけでも 100 万人以上のメンバーがいます。これは、100 万人近い人々が Drupal プラットフォームの改善(バグフィックス、新機能など)に積極的に取り組んでいることを意味します。

オープンソースは優秀な人材を魅了

オープンソース開発は、開発人材を惹きつける最も重要な方法の一つであり、トップクラスの応募者数を誇る米国のスタートアップ企業の半数以上がオープンソースプロジェクトをホストしています。多くの開発者は、まだ解決されていない課題に取り組みたいと考えており、オープンソースで働くことがその機会を与えています。オープンソースでは、自分が直面しているユニークな課題と、それを自分のチームがどのように解決しているかを、開発者のコミュニティーにアピールすることができます。

さらに、エンジニアとしての価値のアピールの重要性が高まっています。今日の開発者は、自分の実績をアピールできない仕事にあまり興味がありません。オープンソースで仕事をすれば、プロプライエタリーなソフトウェアの制約を受けずに自身の知名度の向上が可能です。

この 1 年で変わったこと

昨年(2019 年)、Drupal とアクイアは前進を重ね、オープンソースのデジタル・エクスペリエンス・プラットフォームのトップ・コンペティターとしての地位を確立しました。堅牢な開発者コミュニティー、一流のパートナー、そして一連の買収に支えられ、アクイアは常にデジタルイノベーションの最前線にいます。

アクイアの中核はオープンソースですが、アクイアは他のテクノロジープラットフォームにも投資することで能力を高め、より広範なデジタルエクスペリエンスプラットフォームとの競争を可能にしています。昨年、アクイアは 3 社を買収しましたが、これらの企業はオープンソース技術を活用することの利点と、その方向性を示すロードマップに光を当てています。

Mautic

Mautic は「平等」にのみ焦点を置くことからスタートしました。Mautic のコミュニティーは、すべての人に自分のビジネスや組織を理解し、管理し、成長させる力を与えることを信念としています。Mautic は、強力なマーケティングオートメーションソフトウェアへの明確なアクセスを提供し、この信念を実現するための支援に注力しています。我々のチームは、過去数ヶ月でソリューションの専門家を目指して努力した結果、デジタルマーケティング体験を最適化するための提案を行えるまでに至りました。

Cohesion

Cohesion は美しいウェブサイトを作成するための要件を再定義します。このローコードの Drupal アドオンは、アクイアの利用者に提供されており、これまで以上に多くのロールが参加・利用可能かつ共同作業を行いやすく、またアジャイルになっています。開発者以外の方にも使いやすく、組織内の誰もがその場で更新を行い、ブランドのスタイルに 100% 準拠することができます。

AgilOne

アクイア社は最近、企業の顧客データプラットフォームを提供する AgilOne 社を買収し、同社のマーケティングクラウド製品に組み込むことになりました。我々のパートナーの Bounteous 社は「顧客データを AIモデリングやマーケティングの活性化のためにまとめあげるアクイア社の能力が、この買収で大きく飛躍することを意味しており、非常に期待しています」と述べています。

オープンアーキテクチャーの強み

企業向けに最適化されたオープンソースのコンテンツ管理システムを検討しているのであれば、Drupal と アクイア のデジタル・エクスペリエンス・プラットフォームの組み合わせは、非常に強力な選択肢です。インテグレーション、API ファースト、カスタマイズ可能なワークフロー、モバイルファーストのビルドなどに重点を置いているアクイアが、エンタープライズプラットフォームの選択肢として傑出していることは驚くに値しません。
 

オープンソースが利用可能であることから、オープンアーキテクチャーの継続的な発展が期待できます。我々は、オープンなソリューションが業界を前進させ続けると確信しており、今後の展開を楽しみにしています。

 
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この記事を書いた人: ANNAI株式会社

ANNAIは、2009年からDrupal専門のWebシステム開発会社として、世界規模で展開するグローバル企業や大学・自治体を中心に数多くのWebソリューションを提供。
CoreやModuleのコントリビューターなど、Drupalエキスパートが多数在籍。国内ユーザーコミュニティへも積極的にコミットし、定期的なセミナーの等の開催を通じて、オープンソース技術の普及や海外コミュニティとの緊密な連携を図っている。
Webシステムの企画・開発〜デザイン、クラウド運用までをワンストップで提供する他、Drupalのコーディングを評価する"Audit業務"や最適なモジュールの調査・選定等、幅広いコンサルティングを行っている。Drupalアソシエーション公式パートナー。

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